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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十五話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その5)
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を出した。単座戦闘艇(スパルタニアン)の迎撃を突破した単座戦闘艇(ワルキューレ)がいるようだ。しかし後方にすり抜ける? 第一、第十二艦隊に向かっているのだろうか。
「第一、 第十二に向かうのかな」
「或いは駐留艦隊に向かうのか……」
「遠征軍はもう助からないと見たか……、だとすれば有り得るな」
ワイドボーン准将とヤン准将が会議卓の椅子に座り、スクリーンを見ながら話している。ヴァレンシュタイン准将はその傍で無言でスクリーンを見ている。狙いは第一艦隊だろうか、帝国軍は単座戦闘艇(ワルキューレ)が第一艦隊を混乱させれば駐留艦隊の突破は可能だと考えている? 突破して同盟軍本隊の後背を衝く?
「元帥閣下、通信妨害を解除しては如何でしょう」
ヴァレンシュタイン准将がシトレ元帥の元に近づき通信妨害の解除を進言した。シトレ元帥はスクリーンを見ていたが、ヴァレンシュタイン准将に視線を向けると大きく頷いた。
「そうしよう」
相手に対して奇襲、或いは孤立させるには通信妨害が必要になる。しかし挟撃が成功した以上、ここから必要になるのは各艦隊との連携になる……。通信妨害は総旗艦ヘクトルの他にも何隻かの艦で共同して行っている。それをやめさせるには連絡艇を使って各艦に伝えなければならない。これには結構時間がかかる。最終的に全ての艦が通信妨害を解除するには三十分はかかるだろう。
「それと第一、第十二艦隊に駐留艦隊を撃滅せよと改めて命じてください。このままでは取り逃がしかねない」
ヴァレンシュタイン准将の声には幾分苛立たしげな響きが有った。シトレ元帥も同じ事を感じたのだろう、微かに苦笑を浮かべている。
「いいだろう。十万隻動員したのだ、戦果は多いほど良い。ボロディンとクブルスリーには連絡艇を出そう」
「宜しくお願いします」
ヴァレンシュタイン准将が席に戻るとヤン准将が困惑したような表情で話しかけ始めた。
「駐留艦隊を無理に殲滅する必要は無いんじゃないかな、イゼルローン要塞は攻略しないんだろう? 余りやりすぎると帝国軍の恨みを不必要に買いかねない。適当な所で切り上げた方が……」
ヤン准将は最後まで話すことは出来なかった。ヴァレンシュタイン准将が冷たい目でヤン准将を見据えている。
「不必要に恨みを買う? 百五十年も戦争をしているんです、恨みなら十二分に買っていますよ。この上どんな不必要な恨みを買うと言うんです?」
「……」
「遊びじゃありません、これは同盟と帝国の戦争なんです。もう少し当事者意識を持って欲しいですね。何故亡命者の私が必死になって戦い、同盟人の貴方が他人事な物言いをするのか、不愉快ですよ」
「……」
ヤン准将は反論しなかった。口を閉じ無言でヴァレンシュタイン准将を見ている。その事がヴァレンシュタイン准将を苛
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