いちわー
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だが数人を一度に凪ぎ払う力強さ。ゴッ!と槍が唸る。
その槍を巨漢の男が避ける。
趙子龍は今度は驚かずに追撃。
「せあ!!」
趙子龍は避けた先に前進し続けざまに振る。
「っ!」
2度三度と槍をよけられ趙子龍は心底から驚いた。
(当たらない!)
今の趙子龍は先程と違って全力だ。
それも必殺の連撃でさえ男は避ける。
(何で当たらない!!)
槍の刃は男に当たったと思えば槍が男の身体をすり抜ける。ただの体捌きで趙子龍の本気の槍から避けていた。
いや避けるだけならあり得ない事じゃない。
しかしーー
(私が避けた動作を見逃してるだと!)
彼女には避ける瞬間の男の動きが見えない。薄皮一枚先で当たると思えた間合いで空を切る槍。
まるで幽霊を相手にしてるかのような悪寒
(いや身体はある!当たるはずだ!)
趙子龍はダッ!と地面が抉れるほどに蹴り男の間合いに深く、深く踏み込み槍を振る。それは相手の反撃は無視した冷静さが欠けた攻撃と言えた。
ヒュ!!
槍がまた空を切った。
「はは……悪い夢か」
趙子龍は明らかに隙を晒した。
男はなにもしない。
いや、趙子龍に対して一度も攻撃していない。
闘っているつもりの趙子龍が喜べる筈がない。
「ふざけるな!」
趙子龍は怒る。
普段は飄々とした彼女がこれ程の怒りを表すのは珍しい。自信の本気の槍を避けられてる事に怒りを感じないほど遥かに許せない。趙子龍の瞳から涙。
趙子龍の攻撃の最中。
向こうの視線があるのは槍でない。
揺れる乳房や見える下着……身体にしか注がれていない事に泣くほどの怒りを感じていた。
男として視線がむくのは仕方ないが、どんなスケベな男が相手でも余裕が無くなれば性的な視線は消える。つまり趙子龍の本気の攻撃でも向こうは余裕なのだ。
趙子龍は武人として本気で闘っている。なのに男は自分をただの女としてしか見られていない。まるで自分の武が取るに足りないモノだと言われてるようではないか。それは負けて殺されるより、犯されるより耐え難い屈辱。
「そのまま……そのまま避けてばかりいるなら、私は喉を掻き斬る」
本気の声色でそう言い放つ。
「は?」
男が驚いた様に趙子龍を見る。
「行くぞ!」
激昂した趙子龍の全身全霊、渾身だった。
技術も防御もない。ただ速さだけを考えた捨て身の一突き。男の心臓を目掛けて放つ。その一閃は趙子龍の今までの生涯で最高の一撃とも言っていい。
ガッ!!
「ふ……ふふふ、笑いしか出てこないな」
趙子龍は可笑しそうに笑う……泣きながら笑う。
趙子龍の全身全霊を込めた槍が止められていた。
男の片腕、い
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