第一章
〜Epilogue〜
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さて、婚儀の後、皆は祝いの宴を催した。それは聖堂の中と外とで行われ、多くの人々にダヴィッドとマルティナは祝福されていた。
しかし、そこには二人…ルーファスとヴィルベルトの姿はもう無かった。
「アダルベルト、行くのか?」
「父上…に母上、叔母上まで…。お見通しってことか。」
ここは街の出口である。ルーファスとヴィルベルトは宴の続く中、また旅へと出発するつもりだったのである。
「アダルベルト、これでもお前の父だ。息子を送り出すのは当たり前であろう。」
「そうよ、アル。前みたいに何にも言わないでいなくなったら、母さん悲しいわ。いってらっしゃいくらい言わせてよ。」
そう言う両親に、ルーファスは複雑な表情をした。それを見た女公爵は、ルーファスに言った。
「ルーファス、昔のことは昔のことであろう。今はこれで良いではないか。」
「あぁ、そうだな…。そんじゃ、行ってくる。ヴィー、行くぞ!」
「は、はい!」
そう言ってルーファスとヴィルベルトは再び旅に出た。その後ろ姿を見て、マリアーナはその目に涙を浮かべて言った。
「アル…無事に帰っておいで…。」
「大丈夫だ。血は繋がらずとも、あれは私達の子だからな。」
そう言ってシュテンダー侯は妻をそっと抱いた。そんな二人に目を細め、女公爵は晴れ渡る青空へと視線を変えた。
「今日は良い天気だのぅ…。」
三人はそうして後、遠くへと消え行くルーファスとヴィルベルトの影をいつまでも見つめていたのであった。
第一章 完
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