第一章
〜Epilogue〜
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」
「はい。」
マルティナは顔を赤らめて返答した。
それを見た皆は笑みを溢し、嬉しそうにしている二人…ダヴィッドとマルティナを祝福したのであった。
時は瞬く間に過ぎ、ルーファスらには婚姻の儀へ招く書簡が届けられていた。しかし、そこに書かれた場所は、当初予定していた大聖堂ではなかった。
「おい…ここって…。」
「師匠…こんなとこで式挙げても良いんですか…?」
ヴィルベルトは半眼で師に問うと、それにウイツが溜め息混じりに返した。
「そうだねぇ…。あそこは確か妖魔を封じていた筈…。」
「ってかウイツ…?お前、王都の仕事どうしたんだ?しょっちゅうここ来てっけど…。」
ここはルーファスらが仮の住まいとしているヴィッチェの街の安宿である。ルーファスとヴィルベルトはあの事件以来、ダヴィッドらのこともあってこの町に留まっていた。
だが、ただ何もせずにいる筈もなく、二人は女公爵の依頼で仕事をしたり、町の人々のためにあちこち飛び回ったりと忙しい毎日を送っていたのだが、そこへ何故かウイツまでも加わっていたのであった。
「いや、これと言って仕事が無くてな。二体の妖魔の力が消えた今、王都にこれだけの魔術師は必要ないので暇なんだよ。」
「暇潰しに来んな!」
ヴィルベルトは二人が愚痴を溢しながらも愉しげ様を見て、本当は妖魔なんてものはおらず、あの旅も夢だったのではなかったかと思えた。
妖魔が生まれた理由…それは人の愚かさで、その欲のために犠牲になった人々が存在した。それが夢であったならと、ヴィルベルトは思わずにはいられなかった。
こうして様々な人に出会えたことは良かったと心から思っている反面、もし妖魔が…魔術師がいなかったら自分はどういった人生を歩んでいたのかと想像する。そして…諦めた。
「師匠、明後日がもう式当日ですよ?どうするんですか?」
「そうだなぁ…書簡が十日も遅れちまったってのは仕方無ぇよな。そんじゃ、叔母上んとこ行って移転魔術で行くしか無ぇな。」
「…えっ…?」
ヴィルベルトはあからさまに嫌な顔をした。もうあの感覚は懲り懲りと言った風である。
しかし、ルーファスはそんな弟子にニッと笑を溢すと、ガッシリとヴィルベルトの肩を掴んで言った。
「平気だって。慣れだ慣れ。」
これにはウイツもヴィルベルトを憐れに思ったのであった。
式当日、ルーファスらは正装して聖堂に赴くと、そこは見違える程に美しく修復されていた。以前見たあの廃墟同然の姿はなく、旧時代の彫刻さえ復元され、その美しさを誇示していた。
「あのオンボロ聖堂が…。」
それを見たルーファスは、ヴィルベルトと共に目を丸くした。
先の旅は、この街の街長であるテミングの依頼から始まった。街の端にある聖堂に幽霊が出ると噂になっているからどうにかして
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