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魔術師ルー&ヴィー
第一章
XX
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のだが、その表情にはありありと困惑が見てとれた。
「ウイツ殿、バーネヴィッツ公殿に今日戻ることは伝えられたのですかな?」
「いえ…伝えてはいませんが…。何かありましたか?」
「それが…今、バーネヴィッツ公殿の使いが参っておりましてな…。」
「えっ…?」
 三人は顔を見合わせた。
「ウイツ…叔母上の屋敷に誰か魔術師がいたんじゃねぇのか?移転魔術は観測可能だから…。」
「いや、それにしても早すぎるぞ?観測してから来た訳じゃなさそうだが…。」
 困惑している街長の前でウイツとルーファスまで困惑してしまったため、ヴィルベルトが仕方なしに言った。
「ウイツさんも師匠も、ここでこんなこと話してても何も分かりませんよ!会って聞いてみれば良いじゃないですか。」
 ヴィルベルトの言葉に、二人だけでなく街長までもが納得と言った表情を見せたため、ヴィルベルトは一人溜め息を洩らしたのであった。
 さて、三人は街長の案内で使者の待つ控え室へと入ると、そこには見覚えある人物の姿があった。
「お前…叔母上と一緒に来てた従者だよな。」
 扉を開いて早々にルーファスがそう言ったため、彼は慌てて立ち上がって頭を下げて返した。
「覚えていて下さるとは光栄です。私はクリストフ・フューレと申します。今回、私は公爵様より、お三方を王城へお連れせよとの命を受けて参りました。そろそろ街長の館へ戻るだろうと言っておられたため参りましたが、まさか直ぐにお会い出来るとは…。」
 フューレがそう返すと、三人は眉間に皺を寄せつつ顔を見合わせた。彼が答えた内容に疑問を呈したからである。
「なぁ、何で俺らが王城に行かにゃならんのだ?」
 ルーファスは眉間に皺を寄せたまま、さも面倒だと言わんばかりの口調で問うと、フューレは少し困った表情をして言った。
「ダヴィッドの件…と言えば分かると公爵様は仰っておられましたが…。」
 それを聞くや、三人は直ぐに街長のところへと行って事情を説明し、そのまま出発する旨を伝えた。
「左様でござますか…。ですがダヴィッドとは、あのマルティナのところへいたダヴィッドですかな?」
 話を聞いた街長がそう問うと、ルーファスはしめたと言った風にニッと笑を見せて街長にある頼み事をした。
 頼みの内容を聞いた街長は少し驚いた風ではあったが、直ぐに二つ返事で答えたのであった。
「よし、こっからが本番みてぇなもんだな。」
 支度を終えて館から出ると、ルーファスは楽しげにそう言った。すると、ヴィルベルトは師を些か困った様に見上げて言った。
「師匠…二体の妖魔を消した以上のことってあるんですか?」
「消えるってよりさ、こっちの方が嬉しいんじゃねぇか?」
「まぁ…それもそうですね。」
 ヴィルベルトはそう返して師に笑みを見せたため、ルーファスも笑って言った。
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