第一章
XIX
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、分からなくはねぇな。昔からああなんだ。俺が気に入らねぇみてぇだから、俺とつるんでたウイツもよく当たられてたかんな。」
「ルーが余計なことばかり言っていたからだろう…。」
ウイツが溜め息混じりにそう返すと、ルーファスもヴィルベルトもつられて溜め息を洩らしたのであった。
さて、三人はそれから直ぐに街の外へと移動した。そして、ルーファスは街全体に向かって魔術を発動させたのであった。浄化の魔術である。
そもそも、魔術に浄化の力はない。だが、魔力…即ち魔の力を反転させることは可能であり、要は邪気として地を汚している力を使って別の力を引き出すと言うことなのである。
ルーファスは先に語った"旋律魔術"に別の魔術を加え、自身のオリジナルとして魔術を行使した。
「これ…やっぱり雪みたいですね…。」
ヴィルベルトは空を見上げながら誰とはなしに呟いた。その魔術は墓地の時と同様、淡雪の様な光が大地に降り注ぐものであった。ウイツもヴィルベルトと同じように、その光景を目を細めて眺めている。
オリジナルの創造…これが第二位の魔術師と言われるルーファスの力である。
オリジナルを創造することは容易い訳ではない。教養や体力があれば良い訳でなく、かなりのキャパシティがなくば創造出来ない。それこそ天性のものであり、ルーファスにはそれが備わっていたからこそ、師であるコアイギスに弟子として認められたと言われている。
そのルーファスの魔術は、直ぐに効力を発揮し始め、枯れ果てた大地に小さな緑を生み出したのであった。
「師匠、凄いです!こんなに植物が芽を出して…。」
「見りゃ分かるっつぅの!ったく…俺は疲れた。ウイツ、ツィンクに転移の陣は書いてきたんだろ?」
「ああ、こんなこともあるかと思って部屋に書いていてある。前金で三ゴルテ払ってあるし、後金で二ゴルテ払うと言ってある。馬車も部屋も無事だと思うよ。」
ウイツがそう言うや、ルーファスは虚空に向かって何かを描く様な仕草をした。
「師匠…何してるんですか?」
「ヴィルベルト君、あれば陣を描いてるんだよ。」
「…?それって地面に描くんじゃないんですか?」
「普通は…ね。まぁ、見ててごらん。」
ウイツにそう言われたヴィルベルトは、暫くそれを見ていた。すると、手を動かすのを止めたかと思うや、ルーファスはいきなり大きな声で言った。
「現れよ!」
そうして手を強く叩くと、虚空に光を帯びた陣が浮かび上がったのであった。
「…これ…どうなってるんですか?」
ヴィルベルトは目を見開いて問うと、ウイツは苦笑しつつそれに答えた。
「これ、ルーとコアイギス様以外は使えないんだ。今のこれは簡易的なものだけど、空間そのものに陣を刻み込むことも二人には可能なんだよ。」
「師匠って…やっぱり凄いんですねぇ。こん
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