第一章
XIX
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心へと焼き付けられたのであった。
「やっと…終われたんですね…。」
光が消えた時、ヴィルベルトはグスターフとセシルがいた場所を見つめてそう呟いた。
ルーファスもウイツもそう思ってはいた。だが、口にすることはなかったのであった。ただ、寂しそうに虚空を見つめたままのヴィルベルトに、「そうだな。」とルーファスは一言だけ返しただけであった。
その後、三人はそのまま街を立ち去ることにしたが、その前に街に張られた結界を解くことにした。邪気は消えたと言え、このまま結界を張り続けていれば、この土地は完全に腐ってしまう恐れがあるからである。
もう妖魔はいない。生ける屍が徘徊することもない。ただ…古き想いだけが残っているだけである。
ルーファスは先ず、ウイツに南東二つの塚の封を解いてくるよう頼み、自身は北西二つの塚の封を解きに行った。
二人が出払っている間、ヴィルベルトは教会内へ残り、この騒ぎを知った王都の魔術師が来た際にその経緯を説明するようにしていた。封を解けば、直ぐに王都の魔術師は確認に出向くことは分かっていた。
特に、ルーファスの師であるコアイギスが気付かぬ訳がないが、彼女程の力であれば、二体の妖魔が消えたことさえ気付いている筈である。
しかし、ルーファスはコアイギスではなく、寧ろ他の上位魔術師の行動を懸念していた。調査にこの街を訪れても、結局は何も出来ずに状況を見るだけしか出来なかったのだから、この件で何も口出ししないとは考え難い。
ルーファスは特に、学院時代に競っていた同期のイェンゲンとホロヴィッツの二人が来ないことを祈った。この二人は何をするか分からないからである。
そう言ったこともあり、ルーファスはウイツにも出来る限り素早く済ませて戻る様に言ったが、その点はウイツも承知していた。
先に話した通り、封印の塚は東西南北の四つ。実は、この内の二つを解けば済むのだが、長い年月に封の上に封を幾重にも重ねていたため、ルーファスとウイツはそれを上から解いて行かねばならない。その様な封印の塚を一つでも残せば、後に何が起こるか分からないために全て解くことにしたのであった。
夜が開けて暫くすると、封を解き終えた二人が教会へと戻ってきた。二人は教会へ同時に帰ってきたため、二人はその疲れきった表情を見て苦笑したのであった。
「ヴィー、帰った…」
ルーファスは扉を開いてそう言いながら入った刹那、答えたのヴィルベルトではなかった。
「ルーファス!お前達、一体何をした!」
そう怒鳴ったのは…二人の既知の人物であり、その声にウイツもうんざりとした顔をしたのであった。
「ホロヴィッツ…お前、何でこんなとこ居んだ?」
目の前に仁王立ちしていたのは…先に話した魔術師の一人であった。
ホロヴィッツとは、とある中級貴族の出で、魔術師
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