第一章
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ぐに行くから。母さんが中で待っている。」
そう優しく言われた少年の屍は、何かを悟ったかの様に歩き出した。真実を言えば、魔術をもってしても屍に心を取り戻すことは叶わない。一度死ねばそれきりなのである。ルーファスもそれは知っているが、目の前のこれは明らかに前例の無い事実であった。
セシルが屍達に取り囲まれた時にも思っていたのだが、これは恐らくグスターフ…いや、シェオールとしての力なのだろう。それがまたグスターフ自身を苦しめることになったのだが…。
少年の屍は時折、グスターフを見るように振り返りながらも教会へと入った。そこではルーファスが詠唱を続けていたが、教会へ入った少年の屍はそのルーファスの前で止まって淡々とお辞儀をし、心へと直接語りかけてきたのであった。
-どうか…あの人…を……救って…下さ…い…。-
ルーファスは些か驚きはしたが、ここで詠唱を途絶えさせる訳にも行かず、少年の屍へと首を縦に振って了承の意思を伝えるや、少年の屍はそのまま墓地へと向かい、最後の一人として墓穴へとその身を横たえた。
そして、もう動くことはなかった。
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