第一章
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に響かせんとばかりの大声で言った。
「皆よ、立て!安らげる場へと誘おう!」
その声が発せられるや否や、倒れていた屍達が再び立ち上がっていった。
そうして後、グスターフは神妙な面持ちでルーファスへと言った。
「済まないが、もう暫し付き合ってもらいたい。」
「何をしたいんだ?」
その表情からルーファスは何かを読み取り、グスターフへと尋ねた。その問いに、グスターフは直ぐ様返した。
「この者達を、然るべき場で眠らせてやりたいのだ。あの教会の扉を開き、この者達を招き入れてやってほしい。そのため、仮初めの肉体を与え、自ら歩める様にしたのだ。」
「なぜ今までそうしなかったんだ?他の魔術師でも出来たろ?」
ルーファスは不思議に思ってそう問うと、グスターフは自嘲気味に笑いながら返した。
「いや、私を見ただけで攻撃してきてな。その攻撃でこの者達を傷付けるため、敢えて話し合える魔術師を待っていたのだ。」
その答えは、謂わば「わざと封じられた」と言っている風であった。それも死者を傷付けないために…である。
「それで、俺達なら出来ると?」
ルーファスはグスターフの想いを理解した上で、彼を見据えてそう問った。ルーファスの隣に立つヴィルベルトとウイツの二人も、グスターフの答えを待つ様に彼を見ていた。
「そうだ。教会内へは招き手が必要だ。招き手があれば、皆在るべき場所へと赴ける。それこそ私には出来なかったことなのだ。頼まれてくれるか?」
そうグスターフは言ったが、三人の意思は既に決まっていた。そのため、ルーファスはこう返したのであった。
「分かった。これがお前の最期の仕事なんだな?」
「その通りだ。世話をかけるな…。」
「今更だっての。」
ルーファスはそう言って笑みを見せるや、ヴィルベルトとウイツもグスターフへと微笑んで了解の意思を伝えたのであった。
さて、グスターフはそのまま死者を引き連れ、街の教会へと歩み始めた。それと同時に、ルーファスら三人は一足先に教会へと向かい、到着するや裏にある墓地へと入ったのであった。
「ウイツ、そっちはどん位だ?」
「こっちは七十人程度なら埋葬出来そうだ。そっちはどうなんだ?」
「こっちは百人ちょいって程だ。全く足んねぇよ。」
墓地で三人がやっているのは、死者を葬る墓穴を作ることであった。グスターフが死者を連れてきた時、墓穴が無くば葬れないのである。
「師匠、あっちの土地はダメなんですか?」
ルーファスとウイツが頭を抱えていた時、ヴィルベルトが墓地の外にある荒れ野を指して言った。
それに対し、ルーファスは頭に手をやって言った。
「ありゃダメだ。土地が邪気で腐ってっからな。」
「でも、師匠が付けてる聖ニコライのサファイアがあれば、あの土地を浄化出来るんじゃないですか?」
その
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