第一章
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の歯を鳴らしているだけなのである。
「師匠…あの少年、"グスターフを返せ"って言ってませんか…?」
ヴィルベルトが恐る恐る師に言った時、急にセシルが叫び声を上げた。
「止めろ!グスターフはお前達を殺した本人ではないか!何故に私を責める!」
そう言うや、セシルは群がる屍達を攻撃し始めた。そのため、ルーファスは屍の中に分け入ってセシルを制したのだった。
「シセル!お前はなぜ屍達が集まったか気付いている筈だ!グスターフの記憶を見たんじゃねぇのか!」
ルーファスにそう怒鳴られ、セシルはその動きを止めて言った。
「ああ…見た。だが、あれを全て信じろと言うのか?」
「信じろ!」
ルーファスは思い切りそう言った。
今のセシルは、真実を知っても受け入れ難いことは承知していたが、それでもグスターフは彼女に知ってほしく、一緒にいたいのだと言う思いを、ルーファスはセシルへと伝えたかった。
「己…下賤の分際で…!」
しかし、その声はセシルを怒らせてしまい、何かをしようと体を動かした刹那、彼女は人形の様に地へと倒れてしまったのであった。
それが合図であったのか、周囲に集った屍達もまた次々に倒れてゆき、最後にはルーファスら三人だけがその場に立ち尽くしたのであった。
「…何なんだ?」
「師匠…僕が思うに、この屍になった人達がセシルさんの力を吸収していたんじゃないでしょうか?」
そのヴィルベルトの意見に、ルーファスとウイツは互いに顔を見合わせた。
確かに、セシルの力を吸収すれば動き出すことは可能であろう。だが、彼女にその気が無いにも関わらず、何故その屍達がセシルの力を吸収出来たのかが解らない。
そこでルーファスはとある仮説を立てた。
「ウイツ。もしかしたら、グスターフの意志がセシルの力を屍達へと吸収させたと考えられねぇか?」
「ルー、それはどうかと思う。グスターフ自身がああやって人々を葬ったのだから、それを利用するとは些か考え難いと思うが?」
ウイツは腕組みをしてそう返したが、ルーファスは尚も仮説を続けた。
「だが、セシルに完全に体を奪われれば、あいつらの様な犠牲者が溢れる。こいつらだってそれは望まねぇだろうし、力を貸してほしいとグスターフが頼んだとしても不思議じゃねぇだろ?」
「それは…。だが、それで何故ここに集まる?その理由が…」
ウイツがそこまで言った時、倒れていたグスターフの体が不意に起き上がった。そのため、三人には緊張が走り、視線をグスターフへと向けたまま息を止めた。それがグスターフなのか、はたまたセシルなのかを見極めなくてはならなかったからである。
「いや、済まない。私も油断していた。」
何とも間の抜けた言葉に三人は緊張を解き、深い溜め息を洩らしたのであった。
グスターフはそんな三人を他所に、月下
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