第一章
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が集まり出したため、ルーファスらは身構えた。それがセシル…ミストデモンだと分かったからである。
だが、ミストデモンは人に憑かねば力を行使することは出来ないため、一先ずは結界を張っただけである。
「おい、セシルが来たぞ。」
ルーファスはそう言い、グスターフに説明を促した。当のグスターフは未だどうしたものか思案に暮れていたが、そんな彼にセシルが話掛けた。
「この方々と共に来て…よくもぬけぬけとあの様なことを…。」
「それは誤解だ。セシル、この方々は私がわざとここへ招いた。それは、君とのことを見届けてほしかったからだ。」
「嘘だ!」
セシルがグスターフの言葉をそう強く否定するや、凄まじい邪気が放出され、ルーファスらは危うく吹き飛ばされそうになった。グスターフに至っては、少し離れていたルーファスの前まで飛ばされていたが。
「セシル、聞いてくれ!私には君しかいないんだ!君だけを愛しているんだよ!」
グスターフは叫んだ。それは公爵としてではなく、紛れもなく一人の男としての叫びであった。
だが、セシルから吹き出す邪気は止まることはなかった。
「今更です…。あの時、私は裸で追い立てられたも同然。そしてこの様な姿に成り果て、何故に愛などという不確実なものを信じられましょう?」
口調は丁寧だが、それとは裏腹に邪気は強まる一方である。
そこで、グスターフは真剣な表情を見せてセシルへと言った。
「では、その証として私の中に入ってくれ。」
「…!?」
その言葉にセシルは動揺している様で、邪気が一気に引いた。グスターフはそれに続け、セシルへと言葉を紡いだ。
「私がどれだけ君を愛し、君を喪った哀しみがどれ程だったか…私の中に入れば解る筈だ。さぁ、私の元へ来てくれ!」
「ならば…望み通りお前を喰らってやろう!」
セシルはそう言うや、凄まじい邪気と共にグスターフを取囲み、凛と立つグスターフの中へと入ったのであった。
グスターフはセシルの力に体を捩り、苦しみのあまり地へと倒れた。体の中ではグスターフとセシルの力が反発しているのである。
暫くそれが続いていたが、ルーファスらにはどうすることも出来ずにただ、事の成り行きを見詰める他なかった。
どれ程の時が経ったであろうか、グスターフは落ち着きを取り戻してスッと立ち上がってルーファスらを見た。
「グスターフ…大丈夫か?」
ルーファスがそう問うと、彼はニタリと笑みを溢して返した。
「ああ、大丈夫だ。奴はもう居ないからな。」
その答えに、三人は中に入っているのがセシルだと気付き、ルーファスはヴィルベルトとウイツを後退させた。
「そう警戒せずとも良いではないか。」
嫌な笑みを見せるや、セシルはルーファスらへと手を翳した。すると、ルーファスらに向かって強大な邪気が放出された
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