第一章
XZ
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そこは広い空洞であった。それは人工的に作られた空間であり、まるで大聖堂の様な造りをしていた。
三人はその中を進んで中央付近までくると、ルーファスは光を天井近くまで上げて強めた。光は内部を明々と照らし出し、そこがどういった場所なのかを明らかにしたのであった。
「ありゃ…祭壇か?」
光に映し出された正面奥には何かを奉った様な祭壇らしきものがあり、その後ろの壁には浮き彫りにされた天使たちが舞っていた。それを見た三人は、直ぐ様歩み寄って調べてみると、確かにそれは祭壇だと確信したが、今まで見てきた教会や大聖堂のそれとはかなり異なっていたことに首を傾げた。
通常、祭壇には中央に抽象的な絵を施してある。神の無償の愛を表すものであるが、ここでは代わりに天使の浮き彫りが施され、その中央には扉らしきものがあるのである。
中に何かが入っているだろうことは想像出来るが、問題はその大きさである。その扉の大きさから察するに、人一人は入れそうな大きさなのである。
「師匠…あれ、何が入ってるんですかね…。」
ヴィルベルトが情けない声で後ろから師に問うと、ルーファスは苦笑混じりに返した。
「開けてみりゃ分かんだろ?」
「駄目ですよ!あんなの何か悪いものが入ってるに決まってます!」
師の答えに、ヴィルベルトは今にも泣きそうである。本当に怖いと言った表情だが、そんなヴィルベルトを余所に、ウイツは祭壇脇に足を掛けてその扉へと登ろうとしていた。どうやら彼はルーファスの考えに賛成の様で、ヴィルベルトは真っ青になっていた。
「待て。」
ウイツがもう少しで扉を開くといった時、ルーファスはウイツを止めた。
「ルー、どうかしたか?」
「何か妙じゃねぇ?こんだけ広いってぇのに、この祭壇しか無ぇ。それも開けと言わんばかりだ。その上、街ん中には邪気が蔓延してたってぇのに、ここには全く邪気が無ぇ。」
「…確かに…。それじゃ、これは何だ?」
ウイツはそう言うと、直ぐに探査の魔術を行使しようと呪文を唱えるや、直ぐにそこから飛び降りて言った。
「これは…本体が封じてある…。」
「本体って…まさか…。」
ウイツの言葉に、ヴィルベルトはますます顔を蒼くした。だが、ルーファスは違った。
「やっとお出ましって訳か。」
そう言うや、ルーファスは祭壇に飛び乗ってその扉を無造作に開いたのであった。
ルーファスの行動にウイツとヴィルベルトは身構えたが、暫く経っても何も起こらず、何とも肩透かしだと言った風に大きな溜め息を吐いた。
「成る程…こいつが本体ってぇのは間違い無ぇな。だが…邪気が全く感じらんねぇってことはだ…奴はミストデモンと同じか、又は違う何かに憑いている…と考えるしかねぇな。」
ルーファスがそこまで言った時、不意に後方から声が響いた。
「ご苦労だった
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