第一章
XZ
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公爵には、グスターフの他に息子が三人いたが、彼らはグスターフの補佐をしていたという。
爵位を継いだ後のこと、グスターフはとある貴族の祝儀に招かれ、そこでセシルと出会った。父である伯爵と共に訪れていた彼女に、グスターフは一目で恋に落ちたと言う。
後日、グスターフは伯爵家に出向いてセシルに交際を申し込んだ。セシルは二つ返事で受け入れ、婚姻まで半年と掛からなかった。伯爵家にしてみれば、格上の公爵家と縁戚関係になることは願ってもないことであり、家族総出でセシルを後押ししたであろうことは想像するまでもない。
しかし、輿入れして二年。彼女に子を成す気配が全く無く、それを心配した父が、グスターフが十日程王都へ出向いていた時に、セシルを実家へと送り返したのであった。子を成さぬ女をいつまでも家に置く訳には行かなかった時代で、父は新たな候補まで見付けていたのであった。
だが、これにグスターフは激怒した。それで父と激しく対立することになり、それは三人の兄弟をも巻き込んだ。
最初は伯爵家から再びセシルを迎えることで決着がつくかと思えたが、途中で三男がグスターフを裏切り、父と共に国王へと嘆願書を提出したのであった。それは公爵位の強制移行であった。
嘆願書の内容であるが、当主グスターフは乱心しており、このままでは公爵家が危ういと言う意味のものだった。曖昧この上ないこの嘆願書が、こともあろうに国王によって受諾されたのである。これにより、爵位は次男へと強制移行され、グスターフはその座より引き摺り下ろされたのであった。
だが、これに不服申し立てをしたのが次男であり、次男はグスターフを擁護しようとグスターフの知人であった公爵と連名で国王へ嘆願書を送ったが、それが国王の手に渡る前に、父と三男はそれに気付いてグスターフをミルダーン公国の魔術実験施設へと力ずくで送り、グスターフは三日とかからず実験の媒体にされてしまったのであった。要は証拠隠滅を謀ろうした訳である。グスターフそのものと、自らの行為を闇へ葬るために…。
だが、ここで問題が起こった。本来であれば異形となるはずの媒体が、そのままの姿で妖魔となってしまったのである。
魔術師らはその邪気に冒されることはなかったが、魔術師以外の施設研究員や労働者達は違った。
妖魔となったグスターフの邪気は止めどなく施設内へ溢れ、彼らは次々と生きた屍となって魔術師らを襲ったのであった。
無論、魔術師らはその力で応戦した。しかし、その数は魔術師らを凌駕していたため、魔術師らはやむ無く施設ごと破壊することにしたのであった。
魔術師らは他に被害が及ばぬ様に結界を張り、第一級の殲滅魔術を行使した。あわよくば妖魔になったグスターフをも葬る算段だったのだ。
しかし…その中にあってかすり傷一つ負っていなかったグスターフを見つけ
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