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魔術師ルー&ヴィー
第一章
XY
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シェオールが誕生した際に何人もの魔術師が犠牲になったそうだ。何を媒体にしたかは伝えられてないがね。」
「それじゃ、何人もの人が一つになったってことですか?」
「伝えられている資料からそう考えられてはいるけど…実際のところ、真実は闇の中ってことだね。」
 ウイツは一旦言葉を切り、そして立ち上がって後を続けた。
「ミルダーンの南、丁度ツィヴリング山脈の麓で実験が行われたと言う記録も残ってはいるんだ。だとしたら、シェオールはあの険しいツィヴリング山脈を越えてまでリュヴェシュタンに入ったことになる。山脈を回避して街道沿いを来れば、より多くの使役出来る屍を得られるのにね…謎だよ。尤も、この亡骸も謎だけどね。」
 ウイツはそこまで言い切るや、大きな溜め息を吐いて周囲を見回した。すると、先程まで近くにいたルーファスが、少し離れた公園の中央にある噴水を調べているのが見えた。
 ウイツがそれとなく見ていると、ルーファスは何か気になるものがあったらしく、乾上がったその中へと足を踏入れ、噴水中央に鎮座していた天使像に手を掛けた。
 ヴィルベルトもウイツと共にそれを見ていたが、師が天使像を前に倒した瞬間、そこから二十歩ほど離れた場所で地面が沈下したのであった。最初から分かっていたかのように、その一角だけは亡骸は置かれていなかった。
 三人は沈下して空いた穴へと来てみると、そこには地下へと続く階段が備えられていたのであった。
「師匠、これは…。」
 ヴィルベルトは地下へ続く闇を覗き込み、不安げに師へと言った。だが、ルーファスはそれに答えることなく魔術で光源を作り出し、闇を裂いて地下へと足を踏入れた。
 ヴィルベルトはそんな師の後ろに付いて階段を下り始めると、それに続いてウイツも光を作り出してその後に続いたのであった。
 さして下らぬうち、ウイツが何かを思い出したかのように二人へと言った。
「この街、以前は要塞都市だったと聞いたことがある。恐らくだが、これは当時の非難場所の一つだったんだろう。今は無いが、昔は街の周囲に防壁があり、かなり強固な作りだったという。万が一その防壁が破られた際、隠れる場所としてこれを作ったんじゃないかな。」
 その話を聞き、先頭を歩いていたルーファスが返した。
「だが、ウイツ。なぜそこまでする必要があったんだ?昔あった城は城塞で、そこで立て籠ったとしても充分だった筈だぞ?」
「いや、城は貴族しか入れなかった。これは多分、教会が作ったんだと思う。だからこんな場所にあるんじゃないかな。」
 そこまで言うと、二人は一旦会話を切った。
 正直に言えば、二人共これの答えを出すだけの情報を持ち合わせていないのである。故に、二人はこの謎について思考を巡らせてみたが、結局結論は出せなかったのであった。
 そんな二人を見て、ヴィルベルトは躊
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