第一章
XY
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教会へと頭を向けており、三人は不可思議にそれを見ていた。
話に聞いた限り、この街には“生きた屍"が徘徊している筈であったが、ルーファスらの足下には“骨"が転がっているのだ。
「ウイツ。こいつらもしかして…操られてた奴らなんじゃねぇのか?よく見りゃ、こいつら倒れたってより置かれたって感じだしよ。」
「そう…だな…。ほぼ全てが仰向けらしいし、意図的に遺体を置いたと考えれば辻褄は合う。しかし…なぜ?」
ウイツはしゃがみこんで骨を見た。一見、無造作に置かれているように見えるが、それらは一体として重なることはなく、全てが教会へ頭を向けて置かれている。それは悪意より、むしろ深い信仰心の成せる業であった。
「だが、もしそうだとして誰がここへ?魔術師がやったと言う記録はないし、こうなっているといった記録もない。それに、いかな魔術師や神聖術者でも、この邪気の中でこの作業を完成させるには無理がある。操っているシェオールを無視して出来ようもないはずたが…。」
ウイツは骨を詳しく調べながら一人自問自答をしていたが、近くにいたヴィルベルトがその自問自答に答えたのであった。
「もしかしたら…あのシェオールって妖魔がやったんじゃないでしょうか?」
ウイツは目を丸くしてヴィルベルトを見ると、彼は大真面目でウイツを見ていた。それに対し、ウイツが返す前にルーファスが口を開いた。
「ヴィー、そいつは行き過ぎた推測じゃねぇか?人間を生きた屍に変えて操る妖魔が、一体何だってこんな手間掛かることすんだ?」
そのルーファスの言葉にウイツが繋げた。
「そうだね。妖魔に信仰心でもあれば別として、そんな人間らしい心…」
ウイツはそこまで言うと、ハッとしてルーファスに向き直って言った。
「ルー…まさか…」
「ああ、そうかもな…。」
二人はそう言ったかと思うと、二人共顎に手をつけて考え込んでしまった。そのため、ヴィルベルトは「どうされたんですか?」とどちらともなく問うと、暫くしてルーファスがそれに答えた。
「シェオールも…単体の人間が媒体になってるんじゃねぇのかってな。あのミストデモン同様にな。」
その答えに、ヴィルベルトは困惑した。
先に述べられている通り、妖魔シェオールは自ら放出される邪気によって人を生きた屍へと変貌させ、そしてそれらを使役する。もし仮に、シェオールに人の心が残っていれば、生きた屍を無造作に使役するなど出来るであろうか?
ヴィルベルトがそのように考えていると、ルーファスはそれを見透かして言った。
「シェオールは自らの邪気を止められねぇんだろ?感情が残ってたら、相当な痛みだったんじゃねぇか?」
「それは…自分の意思でやってたんじゃないってことですか?」
ヴィルベルトが再びそう問い掛けると、それにウイツが言った。
「一説によれば、
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