第一章
XY
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それに気付いた二人も直ぐに止まり、ヴィルベルトへと振り返ったのであった。
「ヴィー。何だ、お前怖いのか?」
「べ、別にそう言う訳じゃ…」
ルーファスが嫌な笑みを見せてそうヴィルベルトに言ったため、ヴィルベルトは焦ってそれを誤魔化そうとしたが、そこへウイツが笑いながら言った。
「ヴィルベルト君。邪気は魔術師や神聖術者には効かないよ。無自覚に力を相殺してるからね。まぁ、生ける屍には気を付けないといけないけど。あれは直接攻撃してくるから。」
そう言われたヴィルベルトは、安心して良いのか悪いのか判断しかねるといった風に苦笑いしたのであった。
「ま、こんなとこで突っ立ってても仕方ねぇし、さっさと行こうぜ。」
ルーファスにそう促され、ウイツとヴィルベルトはルーファスと共に再び歩き始めたのであった。
数時歩くと、彼らはレヅィーヒの街の門へと辿り着いた。その朽ちかけた門は、在りし日を偲ぶ石碑の様にさえ見え、三人は暫し感慨に耽った。
昔は人々が行き交う主要な街の一つであり、この街を通って二つの隣国へと続く主要街道まであったのだ。それが邪気の漂う死者の街と成り果て、そこへ四重の封印を施されているのだ。それはまるで…巨大な柩の様だと三人は思った。
ウイツは在りし日の思いに浸ることをやめ、隣にいたルーファスへと問い掛けた。
「ルー。確かこの街の教会に、移転魔術の陣が描かれていた筈だ。直ぐにでも行けるかい?」
「そりゃ行けっけどよ…教会そのもんに結界張ってあんのか?」
「問題ない。ここは数年に一回は、定期的に王都の魔術師達が調査に入ってるからな。その時に、一緒に結界も補修されていると聞いている。街そのものの結界も同じくだがな。封を強化するために封を更新し続けなくてはならないとは…なんとも困った妖魔だよ。」
「全くだ。おい、ヴィー。お前は俺の手を握っとけ。」
ウイツとの会話からいきなり自分へと切り替わったため、ヴィルベルトは多少びっくりしつつ師へと問った。
「師匠、何するんですか?」
ヴィルベルトの反応に、ルーファスは何かを思い出したかのように言った。
「そっか…ヴィーは移転魔術体験したことなかったな…。ま、これもいい経験だな。」
「師匠…そんな簡単に言わないで下さいよ…。」
ヴィルベルトはジトッとルーファスを見ながら言った。そんな弟子を見て、ルーファスはニッと笑みを溢して返した。
「まぁまぁ。少しばかり馬車酔いした程度だっての。」
「はいぃ?」
ヴィルベルトの顔は引き攣っていたが、ルーファスはそれを無視して魔術を行使したのであった。
「彼の場所へ我を繋げ!」
すると、二人の足下に光輝く魔法陣が浮き上がり、彼らは光に埋もれるようにその姿を消した。それを確認したのち、ウイツも後に続けて魔術を行使して二人を追ったのであ
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