第一章
XV
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女公爵は暫く考えた末、一つの解決法を導き出した。
「アーネスト!」
女公爵は少し離れた所へウイツといたアーネストを呼んだ。呼ばれたアーネストは心配そうな弟と共に女公爵の元へ歩み行くと、そこで片膝をついて言った。
「バーネヴィッツ公様、我が身の処罰は如何様にも。覚悟は出来ています故に。」
それを聞いた後、女公爵は隣のサリエスを見た。彼は蒼冷めながら、女公爵へと懇願の目を向けている。
女公爵はそんな兄弟に言った。
「アーネスト・フォン・ギルベルト。汝の下でこいつを執事として働かせろ。」
その言葉に、皆は一瞬何を言っているのか理解に苦しんだ。貴族を討とうとしていた罪人に、貴族の館…それも執事という役職まで与えて働かせろと言ったのである。理解に苦しむもなにも、これは前代未聞であり、処罰に該当するとは到底考えられないのである。
その女公爵の言葉に、恐々とヴィルベルトが口を開いた。
「公爵様…その様に罪人を裁いては、公爵様が貴族院に…」
「分かっておるわ。だが、アーネスト自身にも少なからず罪があるからな。それを帳消しにし、尚且つファルケルに生かしたまま罪を贖わせるには、こうするしかあるまい?そうしなければギルベルト家は破綻し、ファルケルは確実に死罪となるからな。貴族院は私が言いくるめておく故、こちらを案ずる必要はない。」
女公爵はそう言って不敵な笑みを見せた。そうして今度はルーファスらへと言った。
「お前達はミストデモンを追え。私はこれ以上執務を滞らせる訳には行かんからな。そこに居るはダヴィッドと言ったか?」
ルーファスらの後に視線をやり、不意に女公爵はダヴィッドへと声を掛けた。そのため、ダヴィッドは慌てて礼を取って言った。
「はい、公爵様。」
「済まぬが、ギルベルトの兄弟も一緒に乗せてやってくれ。そのままギルベルト家まで送ってくれると助かるのだが。」
「御安いご用と言うものです。お任せ下さい。」
ダヴィッドはそう返すや立ち上がって礼を取り、ファルケル母子とギルベルト兄弟を馬車へと連れて行った。そこにウイツも赴いたが、どうやらアーネストの容体が気になるようで馬車に軽減の魔術を施したのであった。
皆は馬車の前で女公爵へと深々と頭を下げ、そして馬車へと乗り込んだのであった。
ダヴィッドらが発ったのを見届けると、女公爵が腕組みをして考え込んだ。何やら引っ掛かることがあるらしく、暫く唸っていた。
「叔母上…?」
ルーファスは心配そうに女公爵へとそう言った時、彼女はポンと手を打って言った。
「あのダヴィッドという青年、ヴァートコルン家の長男ではないか!どうりで見たことがある顔だと思ったのだ。」
それを聞き、ルーファスとヴィルベルトは目を丸くして女公爵を見た。
「ヴァートコルン家って…東南の一角を統轄している侯
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