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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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うに険しい顔つきになっていた。
 聖文が完成するや、ファルケルの体から淡い光が零れる様に天へと昇って行く。それと同時に、大神官の姿をも薄らぎ始めたのであった。
「ファル、その力を何故使った!」
 女公爵は大神官へと問うと、大神官は穏やかな笑みを見せて言った。
「これで良いのじゃよ。これでのぅ。」
「何が良いのだ!これでは…お前が消えてしまうではないか!」
 女公爵はそう大神官へと叫んだ。
 ルーファスは気付いていた。この神聖術が…その命を削るものだということを。
「師匠…何でですか…?」
 ルーファスの隣まで来てヴィルベルトが問うと、ルーファスは呟く様に返した。
「この術はな、神聖術者が相手の力を神へと強制的に返還させるもんなんだ。だが、かけた術者もまた代価を払わなきゃなんねぇ。人生で二度は使えねぇ術…そうコアイギス師匠が教えてくれたことがあった…。」
 それを聞き、ヴィルベルトだけでなく、ウイツもギルベルト兄弟も目を見開いた。
 だが、大神官だけは違った。その様な中で、彼だけは一人微笑んでいたのであった。
「わしは充分生きた。本来ならば、もうこの世にはおらんのじゃから、一体何を嘆こうものぞ。済まんが、不出来な甥を宜しく頼む。」
 そう言うや、大神官の姿は淡雪の融けるが如く、ただ空へと消え去って逝ったのであった。
「馬鹿者が…。」
 女公爵は一人、去ってしまった友人へとそう呟いた。




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