暁 〜小説投稿サイト〜
魔術師ルー&ヴィー
第一章
XV
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
強張らせて師を見た。
「この国は十八過ぎねぇと飲めねぇのは知ってんよな?」
「…えっと…申し訳ありません…。」
 ヴィルベルトは観念したようにそう言い、ルーファスはそれを聞いて溜め息を吐くや直ぐに次の行動に入った。
「大気に舞う水達よ、ここに集いて大地を潤せ!」
 ルーファスが行使した魔術に、最初皆は不可解に思って首を傾げた。だが、皆は程無くしてその理由を理解した。いや、理解せざるを得なかった。煙が部屋に入り始め、窓の外には炎が見えたからである。
 ルーファスが行使した魔術は雨を降らせるもので、それもかなり強力な呪文であった。故に、それは見る間に効力を発揮し、大粒の雨が降り始めた。
 外には火を放った村人等がいたが、今まで快晴だった空から不意に強い雨が降り始めたために驚愕し、その大半が散々に逃げ出したのだった。魔術を恐れている様子である。
 暫くして火が消えると、五人は焼けた扉を蹴破って外へと出た。すると、そこには未だ十数人の村人が残っており、その手には各々弓を持って構えていた。
「どういうつもりだ?」
 ルーファスは多少苛つきながらそう問うと、この家の主であった村長が震える声で言った。
「お…お前ら、ファルケル様の敵だろうが!」
「ま、そうだな。で、どうするってんだ?」
 村長の言葉にルーファスがそう答えるや、村長は「こうするんじゃよ!」と言って周囲に合図を出した。すると一斉に矢が放たれ、それはルーファスらへと一直線に飛んで突き刺さる…筈であった。そのために村人等は、わざわざ五人が出てくるであろう扉の前で弓を構えていたのだから。しかし…。
「…ッ!?」
 放たれた矢は一本もルーファスらには当たらなかった。正確には、全ての矢は三人の剣によって尽く弾かれ、五人には掠りもしなかったのであった。
「馬鹿な!これだけの矢を何んで…」
「何でじゃねぇよ!お前ら、俺達が誰か聞いてなかったんか?どうせファルケルの手先共が先に来てたんだろ?」
「そんなことはどうでもよい!」
 ルーファスの言葉には耳を貸す気は無い様で、村人は再び矢を射ろうとしたが、今度は村人の前へ燃え盛る炎が出現したため、村人等は驚きのあまり弓を落として後退った。
 これは無論、魔術である。ルーファスが話している間、その後ろでウイツが呪文を完成させて行使したのである。そしてその炎に村人等が気をとられている間に、ルーファスが次の魔術を行使した。
「風よ、戒めとなれ!」
 ルーファスは束縛の魔術を使い村人等の体から自由を奪ったため、村人等は理由も分からずに次々に地面へと倒れた。それを見たウイツは直ぐに炎の魔術を解き、ルーファスと共に村人の前へと歩み寄った。
「人の話聞けよ。」
 村人等の前へ行くなり、ルーファスはそれ見たことかと言った風に言うと、村人の一人は魔術の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ