第一章
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てないことは一目瞭然で、母とさえ血縁関係がないことは気付いている。
ではなぜ、ルーファスはシュテンダー侯爵家に実子として育てられることになったのか?ルーファスは現在に至るまで、それについて考え続けてる。
赤の他人の子を、なぜ育てる必要があったのかが分かれば、そこから本当の両親が分かるかも知れないという淡い期待がルーファスにはあった。
無論、育ててくれたシュテンダー侯爵とマリアーナは両親として愛してはいる。だが、産みの親を知りたくない訳ではないのである。
「叔母上…。」
「済まぬが…私の口から語るべきことではないのだ。許せ。」
「わしもつい口が滑ってしもうた。悪いことをしたのぅ…。」
女公爵と大神官にそう言われては、ルーファスもそれ以上は聞けなかった。
この二人がそう言って話を避けたと言うことは、ルーファスが考えていたよりも大きな力が働いていたのである。ルーファスもそれに気付き、敢えて追及はしなかったのだ。
女公爵も大神官も、その力はかなりのものである。そんな二人が口を鉗むと言うことは、そうとうな力が掛かっている…そう考える他ないのである。
「分かりました。もう、これについては聞きません。」
そうルーファスは女公爵と大神官へと言うと、直ぐ様ウイツを呼んだ。
「どうした?」
ウイツがそう言ってルーファスの元へ来ると、ルーファスはこれからどう行動するかウイツに伝えた。すると、それを聞くやウイツは見る間に顔を顰めて返した。
「ルー…それ、本当に大丈夫なのか?」
「今んとこ、これしか方法無ぇだろ?」
「そりゃ…まぁ…。」
ウイツは口籠った。
ルーファスがウイツに言った方法とは、ルーファス自身が囮になってミストデモンを誘き寄せ、宝玉“ラファエルの涙"へ封じて後に結界を張ると言うものであり、一歩間違えればルーファス自身がミストデモンの餌食になりかねない。
もし仮に、これが失敗してルーファスの体と力がミストデモンに奪われたなら、それこそ国家の一大事と言わざるを得ない。
しかし、ウイツでは宝玉“ラファエルの涙"を操る力はない。ヴィルベルトに至っては論外であり、消去法でルーファスしか出来ないのは言うまでもないことである。
「ルーファス、お前は大丈夫なのか?あの妖魔は…」
「叔母上、誰かが遣んねぇと終わら無ぇだろ?だったら俺が遣るってだけだ。
」
心配そうな女公爵にルーファスは笑いながらそう返すと、「さて、行くか。」と言って馬車へと向かった。
だが、ウイツは馬車へと向かうルーファスを呼び止めて言った。
「ルー。もうこんな時刻だし、明朝にでも発てからでも…」
「いや、直ぐに移動した方が良い。奴らだって俺達がラファエルの涙を手にしたことは気付いてる筈だ。ここで留まれば、恐らく倍の手勢で襲ってくんだろうか
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