第一章
XI
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でファルケルを迎えに来たアーネストである。
「貴様…何故この様なことをした!」
女公爵は怒りを露にしてアーネストへ問うが、アーネストはそれに答えることなく、代わりに下品な笑みを見せて言った。
「これはこれはバーネヴィッツ公、お久しぶりに御座います。おや?お顔の色が優れぬご様子ですね。」
「戯れ言を申すな!貴様は自らが何をしたか分かっておるのか!」
アーネストの馬鹿にしたような言葉に、女公爵は激怒した。しかし、アーネストはそんなことか言った風に肩を竦めて返した。
「勿論、分かっていますよ?貴族の飼い犬を一匹殺しただけで、それが何か?そんなもの、放っておけば勝手に増えます。一匹殺したくらい何だと言うんです。」
気色悪い笑みはそのままに、アーネストはそう言い切った。それはまるで気でも狂っている様にしか見えず、一同はその張り付いた様な凍った笑みに寒気さえ覚えた。
だが、ルーファスはそんなアーネストに違和感を感じ、彼に向かって問い掛けた。
「お前は誰だ。」
その問いは周囲を驚かせた。目の前の若い男は、どうみてもアーネストであるからである。ウイツとヴィルベルトはセブスの村跡で見ているが、女公爵も無論知っている人物なのだ。そこにこの問いなのだから、周囲が驚くのも無理はない。
だが、アーネストだけは違っていた。その下卑た笑みはそのままに、黙ってルーファスらを見ていた。
ウイツはルーファスの意図が分からず、小声でルーファスのへと言った。
「ルー、お前どうしたんだ?」
その言葉に、ルーファスは眉間に皺を寄せて返した。
「ウイツ…気付かないのか?奴から妙なもん感じないのか?」
「そりゃ…奴は狂ってるだろうが…」
「そうじゃねぇよ!よく考えてみろ。奴の力でウッドドールなんぞ操れはしねぇはずだ。無論、ファルケルの神聖術では論外だしな。とすれば…。」
そう言われ、ウイツはハッとしてアーネストを見ると、彼は時が止まったかの様に身動き一つしていない。瞬きさえも…。
「おい…もしかして…。」
ウイツはその何かに気付き、全身の血の気が失せていくのが分かった。
この二人の会話で女公爵は何かを察したが、ヴィルベルトはさっぱり理解出来ていない様子であった。しかし、アーネストからは何か良からぬ気を感じてはいたため、ヴィルベルトは師の後へと隠れていた。
「…気付いたか…。」
四人が身を強張らせて見ていると、アーネストの口から別の何かが声を出した。声は女性のものであったが、その瞬間に凄まじい邪気が辺りを覆った。
「神秘の障壁!」
邪気がルーファスらを包み込む前に、宝玉の中より大神官が神聖術を行使したため、邪気はルーファスらに届くことはなかった。
「全く…こやつの封を破るとはのぅ…。」
術が完成していることを確認すると、大神官
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