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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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と言った風に馬車へと向かい、ウイツは馭者台に乗り、ヴィルベルトは馬車の中へと入った。
 そんな三人に、女公爵は歩み寄って溜め息混じりに言った。
「そう急くこともあるまい。もう夕も近い故、この先のリッケの村で休むとしようではないか。」
 だが、ルーファスは女公爵へと反論した。
「リッケからグリュネは目と鼻の先だ。俺達が村で休めば、さっきみてぇな奴等が攻めて来ねぇとも限らねぇからな。リッケを抜けたとこで野営するのが無難だろ?」
「全く、たまには確りしたことを言うな。少しは成長したと言うことか。」
 ルーファスの意見に頷きながら、女公爵は沁々とした様子でそう言うと、ルーファスはムスッとして言った。
「もうガキじゃねぇんだっての!」
「そうだな。昔は女の子の様であったが、今はこんなに逞しくなったしのぅ。ここまで良い男になろうとは、全く思っておらなんだが。」
 昔話が始まりそうだとルーファスは考え、「話は終わりだ!出発すっぞ!」と言って馬車を出した。女公爵はそんなルーファスに苦笑しつつ、お供と共に馬で後についたのであった。
 ヴィルベルトは師であるルーファスの昔話に興味があったが、藪をつついて蛇を出すのは願い下げであった。一方のウイツは何か知っている様であったが、こちらも触らぬ神になんとやら。二人共黙ったまま、暮れ行く夕の紅く染まった空を、ただただ眺めていたのであった。




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