第一章
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引っ掛かるものはあった。
「こりゃ…まさか…。」
ルーファスらは、敢えて敵を打ち倒すことはしても斬り倒すことはしなかったが、ルーファスは自分の推測を裏付けるべく、迫った敵を斬ったのであった。
「やっぱりなぁ…。」
斬った剣には血が一滴も付かず、それどころか斬った敵から血が飛び散ることもなかった。
ルーファスが引っ掛かっていたのは、敵から生気が全く感じなかったと言うことなのである。見た目は人間なのだが、斬った感触はまるで人形なのであった。
迫りくる敵の正体は分かったが、それは斬っても全くダメージが伝わらず、魔術であれば系統を知らねば解けない。
そこでルーファスが攻撃魔術を行使しようとした時であった。
「苦戦しているようだな。」
不意に声が聞こえてきたため、ルーファスらは人形を蹴散らしつつ視線を変えると、そこには馬にまたがった女公爵がいた。
「叔母上!なぜこんなとこに来てんだよ!」
「随分な挨拶ではないか。」
女公爵は供と共に馬を降り、人形の手足を斬りつつルーファスの元へとやってきた。
「所用があってファルの街長のところへ出向いて来たのだ。来てみればセブスの村が焼き討ちにあい、避難してきた村人をお前たちが助けたと言うではないか。その上ファルケルを追って北へ向かったと聞いてな、ものはついでに来てみればこの有り様だ。」
女公爵は優雅に剣を操り、話す間も全く隙を見せることはなかった。正確に人形の首を切り落とし、尽く動かぬガラクタに変えている。どうやら最初から人形だと分かっていたようであった。
「この様な呪文、未だ残っておったとはな。」
女公爵は苦々しげにボソリと言った。
その時、女公爵が左手首に着けていた腕輪から光が溢れ、その場に動いていた人形共を一瞬で倒した。
「なんじゃそりゃ…。」
それにはルーファスもウイツも、無論、ヴィルベルトも唖然とした。今までに、この様な魔術を見たことがなかったのである。
それも仕方無いことで、これは魔術ではなかった。
「いやぁ、済まんのぅ。少し寝とったわい。」
唖然としている三人の前に、これまた唖然としてしまう人物が姿を現した。いや…浮かび上がったと言う表現が適切かも知れない。
「何でこんなとこに大神官が居るんだよ!」
突拍子もない声で、ルーファスは見覚えある幽かなその人物へと言った。
そう、そこにいたのは大神官老ファルケルであった。大神官はさも可笑しそうにしていたが、隣で女公爵が苦笑しつつ言った。
「いや、こやつのことを聞いて大聖堂へ寄ったのだが、どうしても共に来ると言うてな。知らぬ仲でもなし、それではとな。」
「そうじゃなく、何であの大聖堂から出られたってこどだ!そもそも、妖魔の力で残った記憶の断片なんだから、そっから出れる訳ねぇだろうが!」
ルー
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