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魔術師ルー&ヴィー
第一章
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、木の幹にその何かが突き刺さったのである。
「…っ!?」
 それは見るまでもなく矢であった。少しでもずれていたら、それは間違いなくヴィルベルトの頭に刺さっていた。
 ヴィルベルトは矢を見るなり血の気が失せ、その場にへなへなと崩折れた。そんなヴィルベルトの元へ、ルーファスとウイツは慌て駆け寄った。
「ヴィー、大丈夫か?」
「は…はい、師匠。」
 ルーファスはヴィルベルトの手をとって立たせた時、ウイツは剣を抜いて二人に言った。
「おい、そんな暢気にしてる場合じゃない様だぞ。」
 そう言われて視線を変えると、川向こうから十数人程の兵らしき者達が姿を見せた。
「歓迎されてるみたいだな。」
 ルーファスはそう言うとヴィルベルトを背後へと下がらせ、自らも剣を抜いた。
 兵らしき者達は直ぐ様川を渡り、素早い動きで三人を囲んだ。だが、何か様子が変であり、まるで三人の出方を見ている様であった。
「お前達…ファルケルの手の者か…?」
 ウイツがそう問うや、それが合図とばかりに奴らは三人へと斬りかかってきたため、ウイツとルーファスはそれに応戦したのであった。
 しかし、ここで問題が一つあった。ヴィルベルトは全く剣を使えないのである。その上、魔術も未熟であり、自分の身を守ることも儘ならない。故に、ルーファスとウイツはヴィルベルトを守りながら戦わねばならず、苦戦を強いられていたのである。
「ヴィー、自分に護りの魔術を使え!」
「はい!」
 護りの魔術とは、ルーファスがヴィルベルトへ教えた最初の魔術である。直接、間接問わず、攻撃を防ぐ魔術であるが、本来ならば第四級以上の魔術師でなくば使えない。
 ルーファスはヴィルベルトが剣を扱えないことと、魔力が強いことからこの魔術を教えた。自分を護るためには必要な魔術であったが、ルーファス自身が護り切れないと判断した時のみ使用する制限付とした。かなり力を消耗する魔術だからである。
 さて、ヴィルベルトが呪文を唱え終えるのを確認するや、ルーファスは一気に体制を立て直した。そして敵をその剣で次々に打ち倒したが、その数は一向に減る気配がない。困惑したルーファスは剣を振るいながらウイツへと問った。
「ウイツ!こりゃどうなってんだっ!?」
「私に聞くな!どこかに転移の術式でも刻んであるんじゃないのか…って、しつこい!」
 ウイツは食らい付いてくる敵を蹴り飛ばしながら言った。
 ルーファスは敵の攻撃を受け流しながらそれらしき印を探したが、こう敵が多くては思うように動けない。そのため、彼は眠りの魔術を行使することにしたのだが…。
「…どうなってんだ?」
 剣を操りながら呪文を唱えたとは言え、ルーファスの魔術は完成されていた。しかし、敵の動きは何も変わらず、ルーファスを更に困惑させた。
 ルーファスはそれ以前から
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