第一章
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ルーファスはそう言ってウイツ、ヴィルベルトと共に馬車へと戻った。
だが、ルーファスが馭者台に乗ろうとした時、不意に声を掛ける者があった。
「馬鹿なことを。その様な行為、ただの生ける者のエゴではないか。」
その声に、三人は体を強張らせて辺りを見回した。すると、焼けた家々のただ中に見知らぬ男の姿があった。
その男は真っ白な衣に身を包み、見た目は巡礼者の様であったが、その態度は些か傲慢と言えるものであった。
その男が三人の前まで歩み寄るや、横柄な態度で言ってきた。
「お前達、魔術師か?」
「そうだが?」
その男の態度に、ルーファスは眉を潜めながら答えた。すると、その男はいきなり神聖術の聖文を唱えた。
「偉大なる神、その深き慈愛の理にて悪しき輩を尽く滅ぼし給え。」
ルーファスはそれを聞いてカッと目を開き、男が聖文を唱え終える前に素早く返した。
「理を破棄し、我らの盾に!」
男の聖文とルーファスの呪文は同時に完成したため、ルーファスらは何事もなかった。だが…周囲は違っていた。焼け残っていた家屋が灰となり、村の名残さえ残ってはいなかったのである。
その力に三人は、この男がファルケルであると確信したのであった。
「お前がファルケルだな。」
「左様、我がファルケルだ。穢れし魔術師共よ。」
ファルケルはそう言って顔を歪め、恰も穢らわしいものでも見る様にルーファスらを見たため、ルーファスらは顔を顰めた。
確かに、魔術師の力は“魔"の力をもって術を具現化するものだが、それ自体に悪しき影響はない。純粋に力だけを使っているためである。それは神聖術も同様であり、術を行使出来るからとて本人が神聖である訳ではない。
「聞き捨てならんな。邪な神聖術の使い手よ。」
ウイツは腹に据えかね、ファルケルにそう返した。すると、ファルケルはその表情を一変させて言った。
「我を邪と言うか。」
「ああ、言うな。罪無き人々の命を奪っておいて、何故お前が神聖なものか。」
ウイツがそう返すや、ファルケルは一歩前へ歩み出て大声で言い返した。
「神を信仰せず、世の貴族に取り入ってばかりの村だ!その様な人間を討ち滅ぼして何が悪いと言うか!」
ファルケルはまるで自らが神の使者であると言わんばかりに、目を見開いてその怒りを顕にした。
そんなファルケルに、ルーファスは飽くまで冷静に言葉を返した。
「それじゃ聞くが、お前は何で焼き払った村から金品を奪い取ったんだ?お前の信仰の対象たる神は、汝人のものを盗むなかれと説いているのによ。」
「魔術師風情が神を語るとは。言っておくが、我は選ばれし者だ。我が討ち滅ぼした者の金品は、我が報酬とされておるのだ。」
ファルケルは、さも当たり前だと言わんばかりにルーファスを鼻で笑った。
だが、ルーファスはそ
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