第一章
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術で道を開けたため、ルーファスらは難なくマルティナの店へと着くことが出来た。無論、眠りの魔術は解除してきていた。
店に着くや、三人は直ぐ様荷を下ろして店の中へと運んだ。ここに来たセブスの人々は皆静かにしており、街中の騒ぎには全く無関係であるようであった。
「皆ご苦労様。って…あれ?さっき、もう一人いたよね?」
マルティナが顔を出してそう言うと、ルーファスは苦笑いしながら答えた。
「あいつは帰った。ま、仕事で来てっかんな。」
「そうなの…。ま、二人共ゆっくり休んどくれ。中に夕食用意してあるから、食べたら風呂にでも浸かって疲れを取っとくれよ。これだけ調達できれば五日はもつし、それまでには街長がどうにかするだろうしねぇ。」
マルティナはそう二人に言うと、直ぐに厨房へと入って行ったのであった。ここへ来た人々の夕食を作っているようで、中から何人もの声が入り交じって聞こえていた。
二人は夕食を受け取ると、セブスの人々がごった返す中へと入った。情報収集も兼ね、一緒に食事をしようと考えたのである。
中に入り二人が驚いたことは、皆その表情が柔和であったと言うことであった。村を焼かれて逃げてきたとは思えぬほど、人々は安堵しているのでる。手伝いに来ている街の住人とも打ち解けており、それはマルティナらがいかに彼らの為に尽くしているかが分かることであった。
ふと見ると、マルティナは出来た食事を持って歩き回り、その都度人々に話し掛けいる。話し掛けられた人々の顔からは笑みが溢れ、それが周囲に温かさを与えていた。マルティナも疲れを感じさせることはなく、人々のことを心から想っているからだとルーファスは思った。それがマルティナという人物なのだと。
「ダヴィッド!そんなとこに突っ立ってないで、早くそれ運んどくれよ!」
「分かってるって!その後に薪割りだろ?」
マルティナとダヴィッドの会話に、周囲からドッと笑い声が溢れた。
「兄ちゃん。お前さん、尻に敷かれとるなぁ。お子さんはおるんかい?」
ダヴィッドへ、直ぐ近くにいた老婆が微笑みながら聞いた。それにダヴィッドは苦笑混じりに答えた。
「いゃあ…結婚はしてないんで。」
「おやまぁ、これからだったんかい?」
「えっと…。」
ダヴィッドは答えに詰まり、頬を掻きながら苦笑いするほかなかった。
マルティナのことは愛しているし、結婚したいと思ってはいる。だからこそ、ここへ留まり続けているのである。だが、当のマルティナから返事を貰えてないのが実情なのだ。
実は、ダヴィッドは一度プロポーズして断られている。マルティナ自身、娼婦として働いていたため、結婚は出来ないと言ったのである。これも仕事と言い切るには、やはりそれなりの覚悟はあったのである。
しかし、ダヴィッドはそれでも諦めることはなく、ずっと彼女
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