第一章
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を出しているのがヴィルベルト君だね?」
そう言われたヴィルベルトは、直ぐに馭者台から降りて師の傍らに立って頭を下げた。
「お初にお目にかかります。ヴィルベルト・レームクールです。」
「これはご丁寧に。僕はウイツ・フォン・エーベルハーネだ。以後宜しく。」
ウイツはそう言ってヴィルベルトへと握手を求めたため、ヴィルベルトは慌てて「はい!」と言ってその手を握ったのであった。
「ヴィー、何だ?ウイツと俺のこの差は何なんだ?」
ニコニコとウイツと握手する弟子を半眼で見やり、ルーファスは納得いかぬと言った風に言った。すると、ウイツが事も無げに返した。
「ルー。それは僕の方が品があるからだろう?」
「ウイツ!そりゃ、俺に品が無いっつぅことか…!?」
「決まってるだろ?全部吹き飛ばすなんて言い出す奴に、品もへったくれもないじゃないか。」
ウイツがそう言うと、ヴィルベルトもそれに便乗してルーファスに言った。
「そうですよ師匠。あんな物騒なこと言うなんて、そこに品なんて…」
だが、ヴィルベルトはそこまで言って黙してしまった。目の前に立つ師が、今まで見せたことのない様な笑みを浮かべていたからである。
「えっと…師匠?別にそれが悪いとかでは無くてですね…」
「良いんだよ、ヴィルベルト君。別に私を非難しても、私は怒ったりしないから。」
その言葉とは裏腹に、ルーファスからは凄まじい怒りを感じたヴィルベルトは、青冷めてウイツへと目線で助けを求めた。すると、ウイツはルーファスの肩をガッチリと掴んで言った。
「お前がどんな奴でも、僕はお前のことが好きだぞ!」
その言葉に、ルーファスもヴィルベルトも間の抜けた表情になってしまった。
「好きって…ウイツさん、そっち系の方だったんですか…?」
「ってかウイツ…フォローにすらなってねぇぞ…。」
ルーファスとヴィルベルトはそう言って脱力し、目の前の問題に戻ることにした。ウイツはそんな二人をニコニコとしながら、一人満足そうに見ていたのであった。
さて、そんなウイツを引き連れ、ルーファスはこの状況を打破する術を模索すべく行動した。
「で、これどうすりゃ良いんだ?」
周囲には眠り続ける人々が溢れ、月明かりがこれ見よがしに照らしている。ルーファスに問われてそれを見やるや、ウイツは少し考えて答えた。
「そうだなぁ…こうすれば良いと思うけど。」
ウイツはそう言うと、静かに呪文を唱えた。
「暁の満ち足る時、消え去る闇と来るべき光、刹那の眠りの中に我が声を聞き、我が意思を行え。」
ウイツが唱え終えると、眠り続ける人々が起き上がり、道を開けるかの様に端へと歩いたのであった。
「そうか、この手があったか。」
「ルー…一応お前は大陸第二位の魔術師で、しかも魔導師の称号を与えられてるんだぞ?これ
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