暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
責任とります

[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
頑なに拒否してたっけ。ソラール先輩と一緒にいた神通さんを気遣ってたのか。あのアホにあるまじき気遣いだ。でも、俺が買い出しに出ている間に、二人で話をしてたとは驚いた。アイツ、そんな話を全然しなかったから。

「何か言ってました?」
「すごく辛そうな声でしたけど、『せんせーが診てくれるから大丈夫だよ。だから神通は気にしなくていいからね』って」
「ふーん……」
「姉さん、私には来て欲しくなかったみたいだったので、私もカシワギさんのご好意に、甘えさせてもらいました」

 そう言って、神通さんはくすくすと笑う。最近、俺に対してよく見せる、意味深な微笑みだ。その意味を問いただす勇気は俺にはないが。

 二人で、居間へと続く引き戸を見る。眠れる夜戦バカは今、この引き戸の向こうで、スースー寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている。まさか自分がいる部屋の隣で、自分の妹と先生が、自分の話をしているだなんて夢にも思ってないだろう。

「……カシワギ先生」
「はい?」

 居間の方から目を離さず、神通さんが俺に語りかける。カーテンの隙間から差し込む光が強くなってきた。この調子でお日様が照っているのなら、今日は暖かい一日になるかもしれない。

「冷蔵庫の中、気付きました?」
「へ?」

 はて? 昨晩から何回か冷蔵庫の中は覗いたが、不審なものなんて何かあったっけ? 俺は忘却の彼方から記憶を必死に呼び戻すが、それらしい不審物は思い出せない。

「……何か変なものでもありましたっけ?」
「変なものというわけではありませんが……」

 必死に思い出そうとするが、まったく見当がつかない。神通さんは、そんな俺を微笑みながらしばらく見守り続けたが、やがて答えが出ないと諦めたのか、苦笑いを浮かべながら答えを教えてくれた。

「……あずきがありませんでした?」
「ぁあ、そういえばありましたね」

 あの、ヨーロッパの片田舎のおばあちゃんがジャムを詰めてそうな瓶の中に、そういえばあずきが入ってた!

「それがどうかしました?」
「何も思い当たりませんか?」

 うーん……正解にたどり着いたと思ったのだが、神通さんの意識では、答えへの道筋は間違ってないものの、正解にはたどり着いてないようだ。腕を組み、頭を傾け、懸命に考える。自分の記憶をたどり、あずきで連想出来るものを探す。んー……あずき……あずきといえばあんこ……んー……

 ……あ。

――おいしいですよ! すごくおいしい!
  お店で食べるものよりも、ずっと美味しいです!!

――ありがとうございます。……私も、よく出来てると思います

 そういえば少し前、神通さんがおはぎを作ってきてくれたっけ。

「おはぎですか?」
「はい」

 どうやら俺の推理力が導き
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ