責任とります
朝
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りがとうございました」
神通さんは、そう言って丁寧にお辞儀をしてくれる。
「あ、あ、いやいや……」
慌てて俺もお辞儀をし返す。人間、目の前の相手に予想外の反応をされると、どうすればいいのか分からなくなってうろたえるよねぇ。
「姉はどうですか?」
「なんとか峠は超えました。今は気持ちよさそうに眠ってます」
「よかった……ソラール先生も心配してましたし……」
俺のそばまで来た神通さんが、こそこそと小声で俺に問いかけるもんだから、おれもつい小声で返答してしまう。よく見ると、神通さんはその手にコンビニの袋をぶら下げていた。袋が透けてうっすらと見えるその中身には、サンドイッチや日用品に混じって雪印コーヒーのパックが確認できた。
「ぁあ、飲みます? 以前に姉から、カシワギ先生は甘党だって姉から聞いて、ひょっとしたら好きかもって思って買ってきたんです」
「大好きですっ」
「ではよかったらどうぞ」
「ありがとうございますっ」
神通さんが柔らかい笑顔で袋の中から雪印コーヒーを取り出し、俺はそれを笑顔で受け取る。俺は、朝はアイスコーヒーが飲みたくなる。特に、甘ったるいコーヒーを起き抜けに飲むのが好きなのだが、それには、この雪印コーヒーはうってつけだ。早速パックを開き、腰に手を当ててぐぎょっぐぎょっと音を立てて飲んでしまった。昨夜の川内ではないが、俺も結構喉乾いてたのかなぁ。
「うまいですっ」
「よかったです」
「ありがとうございます神通さん」
「いいえ」
……ところで、なぜ神通さんは、俺がここにいたことを知っているのか。……あ、待て。確かみんなから話を聞いたって言ってたな。ついでに、ソラール先輩もこの事をしってるということは、ひょっとしたら二人は……
「神通さん」
「はい?」
「ソラール先輩はこのことを……」
「ええ。私が話しました」
「ソラール先輩とは……」
気になって、先輩との関係を問いただしてしまったのだが……どうやら愚問なようだ。俺が質問した途端、神通さんは顔を真っ赤っかにして恥ずかしそうにうつむいた。
「え……あ、あの……」
「……」
「そ、その……」
「……おめでとうございます」
「あ、ありがとう……ございます」
うん。もう、皆まで言うな。教室での二人の様子。そして今のこの神通さんの様子で分かるじゃないか。お二人共、末永くお幸せに。
そして、神通さんはもうひとつ、気になることを言っていた。
「川内からも、俺がここにいることを聞いたんですか?」
「ええ。ちょうどカシワギ先生が買い出しに出てるときでしょうか。一緒にいたソラール先生から姉の調子を聞いて、心配になって電話をしてみたんです」
そういや昨日、川内が神通さんを呼ぶのを
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