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大淀パソコンスクール
責任とります
深夜2
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 Hello World。世界で最も有名で、世界で最も組まれるプログラム。長い長いプログラミング人生の始まりの言葉にして、世の中のプログラマーが一番最初に挑戦する、プログラマーになるための儀式。

 俺が学校ではじめてプログラムを学んだ時のことだ。まだ右も左も分からない状況で、講師の人がホワイトボードに書いたJavaのコードを、俺はそのまま打ち込み、コンパイルして実行した。

class Main{
  public static void main (String[] args) throws java.lang.Exception{
    System.out.println ("Hello World!");
  }
}

 コンソール画面に『Hello World!』と表示され、アドレナリンがバンバンに分泌されたその瞬間……講師の人に言われた一言を、当時の感触とともに思い出した。

――おめでとう 今日からあなたたちは、プログラマーです

 あの瞬間に全身がぞくっとして、これ以上ないほどのワクワク感が胸を支配したことを、俺は今、鮮明に思い出した。

 『Hello World』は、単なる英語じゃない。目の前にある機械を『何でも出来る魔法の箱』に変える魔法の言葉。1と0のスペルを組み上げ、電子の魔法を操る事ができる世界へ飛び立つための、短いけれど偉大なおまじない。それが『Hello World』。

 だから俺は、このプログラムが好きだ。この世のどんな至言よりも、偉人の偉大な言葉よりも、どんなに素晴らしい名言よりも、この言葉が好きだ。書いただけでこんなにワクワクする言葉を……こんなに簡単で、こんなにドキドキするプログラムを、俺は他に知らない。

「『夜戦する?』て聞かれたら、もちろん『はい』っ!!」
「……」
「……あれー? せんせー、何もならないよ?」

 今、俺の背中におぶさって、楽しそうに『はい』をクリックしているこのアホを見ていると、はじめてHello Worldを実行したときのことを思い出す。『もう一回!!』と言ってプログラムを実行し、再び『はい』をクリックしている川内は、きっと、初めてHello Worldを実行させた時の俺と、同じワクワクを胸に抱いているんだろう。あの糞会社に忘れさせられた、あの瞬間のワクワクを、俺は今、川内を通して思い出せた。

「……川内」
「もう一度『はい』っ!! ……ん?」
「ありがと」
「? なにが?」
「……なんでもない」
「? ??」

 張本人のアホは『意味がわからない』と言わんばかりに、きょとんとして頭の上にはてなマークを浮かべているけれど……別にいい。

 最初は責任からくる義務感で看病をしたのだが……俺はどうやら、大淀パソコンスク
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