暁 〜小説投稿サイト〜
魔術師ルー&ヴィー
第一章
Z
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ァス様じゃないのか?」
「まさか。あの方がこんな貧相な場所におられる筈はない。」
「しかし、この魔術の速さといい、あの美しい銀髪といい…」
「ルッツ、ルーファス様がこんな喋り方をすると思うか?かのシュテンダー侯爵家のお方で、この大陸第二位の偉大なる魔術師だ。こんな子供じみた喋りをするわけがないだろうが。」
 二人がそう話しているのを、ヴィルベルトはハラハラしながら聞いていると、当のルーファスがニッコリと笑みを見せて言った。
「俺がこんな喋り方じゃ、親父にも師であるコアイギス様にも迷惑だってのか?」
 その言葉に、エッケホルトもルッツも震え上がった。
「まさか…ルーファス様…で、あらせられますか…?」
「だったら悪ぃかよ!」
 怒鳴られた二人は地面に額を擦り付けて言った。
「いえ、滅相も御座いません!ご無礼、何卒ご容赦下さいませ!」
 そういって再び平謝りが続いたのであった。
「師匠って、大陸第二位の力を持ってたんですねぇ。全く気付きませんでした。」
「ヴィー…。俺はな、別に他人と力比べがしたくて魔術師やってんじゃねぇんだ。自分が何位だとか関係無ぇんだよ。」
「でも、師匠の師って、あのベルーナ=コアイギス殿だったんですね。彼女はこの大陸第一位の魔術師なんですから、誇っても良いのではないですか?」
 ヴィルベルトの言葉に、ルーファスは心底嫌そうな顔をして返した。
「別に、そういうのもどうでもいいっての…。コアイギス様には頭上がんねぇけどよ。でもな、それとこれとは話が別だ。」
「そんなものですかねぇ。」
 ヴィルベルトは仕方無しと言った風に話を切ることにした。ルーファスがそうした話を嫌いなことは知っているし、それ以上に、実家の話をすることを極端に嫌う。それ故、先程エッケホルトとルッツの話に侯爵家の名が出たため、ヴィルベルトは気が気ではなかったのである。
 師が本当に怒る時、山一つ吹き飛ばしかねない程の力を行使する。自分のことは棚に上げてはいるが…。
「それでだ。もう一度聞くぞ?お前ら、何でこんなことしてんだ?」
 ルーファスは二人を睨みつつそう言うと、二人は姿勢を正し、声を揃えて答えた。
「ファルケル様のご命令です!」
 二人の答えに、ルーファスとヴィルベルトは顔を見合せた。そして二人に向き直り、ヴィルベルトが訝しげに質問した。
「あの…ファルケル様って、あの大神官老ファルケル殿の甥の?」
 そう問われ、エッケホルトはまるで神聖な使命とばかりに言った。
「その通りです。彼のお方が資金を集めるよう我々にお命じになり、そのために…」
「山賊になったってのか!?そりゃお前、おかしくねぇか?」
 ルーファスは顔を引き攣らせながら言い、隣のヴィルベルトは呆れ顔で二人を見ている。
 話を聞くと、ファルケルがどういう人物
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ