第一章
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ここが一番受け入れが早かった様だな。」
ルーファスが疲れた表情で茶を啜りながらそう言うと、マルティナは誇らしげに返した。
「そりゃね、この店の働き手はこの街一番だからね。でもねぇ…。」
「どうしたんだ?」
マルティナが急に黙ったため、ルーファスは首を傾げて問うと、マルティナはルーファスの前へと腰掛けて言った。
「正直、食料が全く足りないのさ。なにせこの人数だから、街には金があっても食料がないって有り様なんだよ。さっき見てきたら、どこもかしこも品切れでねぇ…。」
マルティナがそう言った時、不意に裏口の扉が開かれてダヴィッドが帰ってきた。彼もまた、セブスの村人達のために動いていたのである。
「あ、マルティナ。ちょうど良かった。これから馬車でルケまで食料を調達してくるから、何が必要か書き出してくれるか?」
「え?馬車なんてどうしたんだい?」
マルティナは目を丸くして聞くや、ダヴィッドは馬車を借りた経緯を掻い摘んで話した。
ダヴィッドは初めは馬車屋を使おうと考えたのであるが、生憎小さな馬車しかなかった。そのため、街長の所持しているやや大きな馬車を借りれないかと相談に行くや、そこにそれ以上に大きな馬車があった。街長の所へ来ていた客人のものであったが、その客人が是非使ってほしいと申し出てくれたとのこと。街長もそれならば使わせてもらえば良いと、そのまま乗ってきたのであった。
「あんた、馬車なんて扱えたのかい?」
「ああ。二年程馬車屋を経験したことがあったんだ。」
「それって…家出した時かい?確か親父様と口論してって話を前に…」
「そんなことはどうでもいいだろ!それより食料だよ!」
ダヴィッドはそう言うや、恥ずかしげに外方を向いた。それが子供っぽかったため、マルティナもルーファスも思わず笑ってしまったが、ルーファスは直ぐに笑いを止めて言った。
「その役目、俺とヴィーで引き受ける。ダヴィッド、お前はここでマルティナのサポートに回るんだ。お前はこの街を良く知ってるからな。」
「おいおい。お前さん方は一応客人だ。そんなことさせらんねぇよ。」
ダヴィッドは慌ててそう言ったが、ルーファスはそんなダヴィッドへと真顔で返した。
「いや、魔術師が関わっているんだったらルケも危ない。さっき言ってた街長の客人ってのは魔術師だろ?」
「ああ、そうだ。よく分かったな。」
ダヴィッドにそう言われたルーファスは、近くの窓から見える馬車の一部を指差して言った。
「あの馬車に見覚えがあるからな。俺とヴィーが出てる間に何かあったら、街長んとこいってその魔術師に頼め。俺の名を出せば、あいつだったら助けになってくれっからよ。」
そう言うや、ルーファスは「ヴィー!」と言って席から経った。直ぐにヴィルベルトがやってくるや、ルーファスは「買い出しに出るぞ
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