第一章
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外はうっすらと白んでおり、最初は各々の店が仕入れにでも出ているのかと思ったが、何だか様子がおかしいと窓を開けて見た。
「何だ…?」
ルーファスが窓から見た光景は異様で、人々が右往左往していた。中には怪我人がいるようで、肩に担がれたり担架に乗せられたりしている者までいたのである。
ルーファスは直ぐ様部屋を出て、正面の鍵を外して通りへ出ると、そこにはまるで火事で焼け出されたとおぼしき人々が押し寄せていたのであった。
「おい、この連中は何をしているんだ?」
ルーファスは目の前にいた男を呼び止めて問った。すると男は疲れ果てた表情で答えた。
「俺達はセブスの村から来たんだ。昨日の夕刻に村が賊に襲われ、そん時に火を放たれちまってな。何とかここまで逃げて来たんだ。」
「なんだって!?」
男はルーファスの驚きなどどうでもいい様で、フラフラとその場を離れてしまった。
ルーファスは急いで部屋へと戻り、マルティナとダヴィッドを叩き起こした。
「何だい何だい…まだ早いじゃないか…。」
「さっき寝たばっかだろ…どうしたんだ…?」
二人共寝惚け眼ではあったが、ルーファスの言葉で一気に目を覚ました。
「セブスの村が賊に焼かれたそうだ。」
「何だと!?」
ダヴィッドはそう言って目を丸くし、マルティナは直ぐ様ベッドから出て窓を開け放した。
「こりゃ…!」
マルティナはそう呟くや、直ぐに部屋を飛び出して大声を出した。
「お前達、緊急事態だ!悪いが起きとくれ!」
そう言って暫くすると、あちこちから女達が扉を開けて出てきた。
「姉さん…どうしたんです…?」
「セブスの村が賊にやられ、村人達がこの街に避難して来てんだよ。今から店を解放するから、悪いが受け入れ手伝っとくれ。」
マルティナがそう言うが早いか、女達は上着を取って店へと駆け降りていったのであった。
その騒ぎでヴィルベルトはやっと起きた様で、ルーファスはそんな弟子を苦笑混じりに見て言った。
「お前は図太い神経してんなぁ。」
「はぁ?まぁ…いいです…。それで師匠、これは一体何の騒ぎですか?」
不機嫌なヴィルベルトにルーファスは溜め息混じりに説明すると、二人は直ぐに支度を整えて外へと出たのであった。他に受け入れ出来そうな店や家々を回るためである。怪我人を癒す神聖術師のいる教会は無論こと、街長の館の門も叩き、町全体へと呼び掛けをして回ったのであった。
一方のマルティナらは怪我人の手当てや食事の用意で手一杯となり、朝日が昇ってルーファスらが帰ってもそれが終わることはなかった。だがその頃には、ルーファスらが街長に緊急を知らせたことが幸いし、セブスの村人達は何れかの公的建物や教会、資産家などの屋敷などへと入ることが出来ていたため、何とか一段落つきそうではあった。
「やっぱり
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