第一章
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みたが彼はやはり答える気はないらしく、仏頂面で外方を向いてしまっためルーファスは顔を引き攣らせて言った。
「マルティナ。こいつ、俺もぶちのめして良いか?」
「まぁ、死なない程度なら。」
マルティナはあっけらかんとそう返したため、ダヴィッドは顔を強張らせた。
「ちょっと待て!俺にだって言い分はある!」
ダヴィッドはそう言いながらも後退った。
そんなダヴィッドに、ルーファスは笑みを見せながら詰め寄った。
「それじゃ、言ってみろ。だがな…もし詰まらんこと言ったら…分かるよな?」
「師匠…それじゃ、何だかヤバい人って感じです。」
ヴィルベルトは横からルーファスへと冷やかに呟いた。ルーファスはそんな弟子の頭を軽く小突き、ダヴィッドから一歩退いて言った。
「で、何だ?」
再び問われたダヴィッドは、ルーファスの表情に戦慄を覚えた。
ルーファスは無駄な時間と労力を費やして彼を探した訳で、本来なら今頃は宿に帰って寛いでいたのである。それをぶち壊されたのだから、ルーファスはかなり苛立っていた。
それを理解したダヴィッドは、気力を振り絞って言った。
「腹が立ったんだよ!」
「はぁ?」
ダヴィッドの答えに、ルーファスは頭を傾げた。
「腹が立ったって…それだけで魔術使ったってか?」
「ああ、そうだよ!何がグリューヴルムだ!見に来たなんて言って、結局は好きな奴とイチャつきてぇだけじゃんかよ!」
これにはルーファスだけでなく、ヴィルベルトもマルティナも呆気にとられてしまったのであった。
ルーファスは半眼になり、一言だけ返した。
「別にいいじゃん。」
「良くない!こっちは大変な思いしてるってのに、何であんな奴等だけ…。」
ダヴィッドはグチグチと文句をいい始めたため、今度はヴィルベルトが溜め息混じりに言った。
「それって…逆恨みですよね?貴方だって一緒に見たい方がいらっしゃるのでは?」
「いるさ!だから殊更腹立たしいんだ!」
「…。」
何だか今一つ理解出来ないルーファスとヴィルベルト。そんな二人を前に、ダヴィッドは不貞腐れた様に胡座をかいて座っているが、その顔は真っ赤に染まっていた。
「ダヴィッド。あんた、一体何をしたんだい?」
マルティナはそう静かに問った。だが、ダヴィッドは外方を向いたまま答えようとはしないため、仕方無しにヴィルベルトが事の顛末を語った。
先にルーファスとダヴィッドの言葉で大方は理解してはいたが、ヴィルベルトが語ったことではっきりと分かったのであった。
「ダヴィッド…何のためにそんなことしたのさ。グリューヴルムはこの街の宝だよ?それを見たいがために、わざわざ遠方から来てくれる人もいるってのに…。」
「そんなん知ったこっちゃねぇ!ファルケル様は、あれはタダで見せて良いもんじゃないと仰
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