第一章
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様な目をしない!って師匠…それこそ無駄話。一応この旅は仕事なんですし、これはこれで前金頂いてるんですから。」
ルーファスが遊んでいるのが分かったため、ヴィルベルトはこんこんと説教を始めてしまった。そのため、ルーファスは参ったとばかりに手を上げでそれを制した。
「分かった分かった。でもよ、グリュネに着くまでこれと言って何があるわけでなし、そう考え込む必要も無ぇんじゃねぇか?」
ルーファスはあっけらかんとそう言うと、鼻歌なんぞ歌い始めた。そんな師を見て、ヴィルベルトは深い溜め息を吐いたのであった。
二人が湯から上がると、陽も随分と傾いて心地好い風が吹いていた。その風にあたりながら部屋へと戻ると、そこには既に夕食が用意され、その良い匂いが二人の鼻を擽った。
「へぇ、この宿は飯を運んでくれんのか。」
「師匠、来た時にそう言ってたじゃないですか…。」
「ま、どうでもいいや。早速食おうぜ!」
まるで子供だなぁ…とヴィルベルトは心中で呟いたが、直ぐに師に倣って席に着いて食事を始めた。
暫くは料理を堪能していたが、ふとヴィルベルトが思い出した様に口を開いた。
「師匠。確かこの街、夜になると光る虫がいるって聞いたことあるんですが。」
「ん?あぁ、グリューヴルムか。そうだなぁ…丁度今頃が時季だし、飯食ったら行ってみっか?」
「はい!」
思わぬルーファスの答えに、ヴィルベルトは満面の笑みで返事を返した。それを見たルーファスは、ヴィルベルトも未だ子供だよなぁ…と思ったのであった。
どっちもどっちなのであるが、二人は全くそれに気付かない。まぁ、それがこの二人の良さでもあろう…。
さて、ルーファスとヴィルベルトは宿から出て、宿の主に教えてもらった公園へと赴いた。そこには他の見物人も多く集まっており、この公園がかなり有名なことが窺えた。
陽が完全に落ちて暗闇が満ち始めた頃、ふとあちらこちらから淡い光が輝き出し、それが空を舞う姿をヴィルベルトは感銘を持って見たのであった。
「これが…グリューヴルムですか…。」
「ああ、そうだ。ヴィー、お前見たこと無かったのか?」
「はい。知識にはありましたが、実物を見るのは初めてなんです。こんな小さな虫が、こんなに光輝くなんて…ほんと、凄いですよね…。」
点滅を繰り返しながら舞うグリューヴルムを、ヴィルベルトは無心に見入っていた。
そんな弟子を見ていると、ルーファスはたまにはこういうのも良いものだと思い、彼もまたグリューヴルムの輝きに見入ったのであった。
だが、そんな細やかな静寂は、とある男の声によってぶち壊された。
「大気に漂う輝ける者達よ、我が声に答え、ここに集いてその姿を垣間見せよ!」
その声が止んだ刹那、そこへ真昼の様な光が出現して周囲を照らし出し、グリューヴルムの淡い光は完
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