第81話 《赤眼》のザザ
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仲間がいる。今のシノンにはそんな仲間が必要だ。だからーーーオレが仲間になる。
オレの呼びかけが多少は聞いたのか、固まっていたシノンの指が少しずつ動き始め、ライフルの引き金にかけることが出来た。
「ダメ!こんなに揺れてたら照準が・・・」
確かに走行中に狙撃体制に入っても、揺れがすごくて照準が合わなくなる。それじゃまともに狙えないのも無理はない。何か方法はーーー
「おっ!ラッキー!」
「え?」
「丁度いいジャンプ台を見つけた。大体5秒後に揺れが止まる!」
こんな絶好のチャンス、逃す訳にはいかない。必ずモノにする!
「2・・・」
ザザのハンドガンの銃口から《弾道予測線》がシノンの頬に伸びる。でもーーー
「1・・・」
ーーーもう遅い。
「今だ!!!」
オレとシノンが乗るバギーは転倒して逆さになっていた自動車の車体に乗っかり、そのまま坂を登るように走行しーーー宙に浮いた。空中なら揺れはほぼゼロだ。それなら狙撃できるだろ。それを理解したのか何なのか、シノンの顔つきがよくなった。まるで、戦い渦中にいる戦士のように。
その戦士は自身の分身と呼ぶ女神の名を持つ狙撃銃の引き金を引きーーー運命を決める一弾を放った。だが、その銃弾はザザから大きく外れてしまった。でもーーー
「上出来・・・!」
外れたと思った銃弾は停車していたワゴン車に命中し、残った燃料に引火する。そしてザザの乗っているロボットホースが真横を通ったところでーーー辺りが火の海と化す爆発が起きた。その爆風を受けながらオレ達の乗っているバギーが着地し、ブレーキをかけて爆炎の中にいるザザを見る。その様はまるで、地獄の業火に身を焼かれ、その命を焦がし尽くされるかのように見えた。でもその炎の中から、黒い何かが飛び出していった。それが何なのか、すぐに理解できたーーー
奴はまだくたばってない。
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