【夢幻に彷徨う蒼き蝶】
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もないし……。ほんとに日向の人なら、会ったことあるかもしれないよな。おれたちのことは、知ってんの?」
当の彼は、言われている意味がよく分からないというように少し間を置いてから、小さく首を横に振る。
「じゃあ、自己紹介してあげるね! ヒマは、ヒマワリっていうんだよ。うずまきヒマワリ! こっちはヒマのお兄ちゃんで、うずまきボルトっていうの!」
「ヒマワリ、そんな気安く名乗っちゃダメだってばさ…! まだこいつの正体よくわかんないだろっ」
「だいじょうぶだよ、日向の人にわるい人いないもん!」
「いや、だってしゃべんないし、髪長いけどオトコかオンナかもわかんないし……? まぁいいや、日向の人ってことにしとくってばさ。──妹のヒマワリがさ、おれと外で遊んでる最中にキレイなチョウチョ見つけたー!とか急に声上げて森の方に走ってくもんだから、追いかけてったらいつの間にか霧が出てきて、帰る方向わかんなくなっちまったんだ」
「ごめんね、お兄ちゃん……でもすっごくキレイなチョウチョさんだったんだよ! 青くて、透き通ってて…!」
「んー、おれには見えなかったけどなぁ…? そうだっ、あんた日向の人なら白眼使えるだろ? 透視能力とかいうやつ! この霧の中から帰れる道、見つけてくれってばさ!」
ボルトという男の子に言われても、彼にとっては“びゃくがん”というのが何を意味するのかすら理解が及ばない。
「なに困った顔してんだよ、あんたやっぱり日向の人のフリしてる悪いヤツなのかっ…!?」
「お兄ちゃん、そんなこと言ったらダメだよ…! この人もいっしょに、連れて帰ってあげよ?」
ヒマワリという女の子が、なんの迷いもなく彼の片手をとる。
「手…、冷たいね。さむいの?」
間近の女の子が心配そうに見上げてくるが、彼はどんな顔をしていいかも分からない。
「──あっ、お兄ちゃん、ヒマわかったよ」
「は? 何がだってばさ、ヒマワリ」
「この人……、ネジおじさんに似てる」
「へ…? ネジ、おじさん?」
「うん、ほら、お母さんに写真見せてもらったでしょ? お部屋にだって、写真立て飾ってあるし」
「あぁ…、なんつーか、よく見りゃそんな気もするけど……今の格好、忍服じゃないし額当てもしてないしなぁ。上忍と下忍、どっちの頃だろ…?? 写真でしか見たことないから、よくわかんねーってばさ」
「ねぇ……もしかしてほんとに、ネジおじさんなの?」
女の子が、蒼い目でじっと見つめてくる。
ねじ、おじさん……。
その響きが、彼には妙に可笑しく思えてくるが表情には表れない。
「なに言ってんだってばさヒマワリ、ネジのおじさんは……前にあった戦争で父ちゃんと母ちゃんを守って死
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