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魔術師ルー&ヴィー
第一章
U
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の奴から二万ゴルテ支払ってもらえねぇんだろ?」
「師匠、僕に言ったって分かりませんよ…。そもそも、妖魔の封印を張り直せば、この幽霊だって消えるんじゃないですか?」
「ま、それも考えられっか。妖魔の力で、生前の記憶が一人歩きしてる可能性もあっからなぁ…。」
「そうですよ。じゃなきゃ、こんなんなって出てくる訳ないですし。」
 二人がこそこそ話し合っている中に、ふとファルケルが割って入った。
「妖魔の封ならば、未だ弱っとらんぞ?わしが死ぬ数日前に張り直し終わったばかりじゃから、今後数百年は大丈夫じゃろう。だから頼みを聞いてもらえんか?甥が立派な神官にでもなってくれれば、わしも一安心じゃからのぅ。」
「ちょっと待て!その甥ってのは、神官目指してんのか?」
「いいや、今はどこぞで悪どいことをしてるようじゃ…。そういうことじゃから心配なんじゃ!あやつにはそれなりの力がある。研けばわしと同じ程の神官にはなれるはずじゃ。そうでなくとも、普通に幸せであれば良いのじゃが、今のままではのぅ…。」
 そう言うや、ファルケルは涙を流し始めた。まぁ、元が半透明なために些か分かり難いが。
 そんなファルケルを見て、ルーファスもヴィルベルトも仕方なしと言った風に頭を掻いた。
「分かったよ。しょうがねぇからその依頼、俺達が引き受ける。」
 ルーファスがそう言うや否や、涙に暮れていたファルケルの表情はパッと一転し、ニコニコと笑みを見せてルーファスらに言った。
「そうか、引き受けてくれるか!これは有難いことじゃ!」
 ファルケルはそう言って喜んだが、今度はヴィルベルトがルーファスへと言った。
「師匠…これ、本当に引き受けて良いんですか?」
「そうだな…俺も不安になってきた…。」
 そんな二人を後目に、ファルケルは依頼を引き受けてくれた礼を述べ続けていたのであった。
 さて、ファルケルの甥であるが、彼は今、リヒテンナハテと呼ばれる森の近くにある村へ居るという。
 リヒテンナハテとは、古語で光を意味する「リヒト」と、否定を意味する「ナハト」が訛った名だと言われている。広大な上に鬱蒼と木々が生い茂り、真昼でも常に暗い。その為、森の中に一旦踏み入れば迷って出られなくなると言われ、余程でなくば誰も立ち入らない魔の森であった。
 そんな森の近くにはグリュネと呼ばれる村があり、そこにはかなりの悪党が集まっていると噂されている。
 なぜ悪党が集まってしまうのか?それは簡単である。いざとなれば、直ぐ後ろにある森へと逃げ込めるからである。故に、この地を治める女公爵すら手を焼いているのであった。
 そもそも森へ逃げ込まれるのが困るならば、それこそ森を焼き払ってしまえば良いと思うのだが、そうも出来ぬ理由があるのである。
 この森はこの地方にとっては大切な水源であり、焼き払って
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