第一章
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な動物でも入り込んでるのだと思い祭壇へと近付いた。
「リスか何かが入り込んでんのか?」
ルーファスが光を翳しながらそう言った時、不意に背後から話し掛ける者がいた。
「申し訳ないのぅ。」
その声に、二人はゾッとして飛び上がりそうになってしまった。
「驚かせたかの?まぁ、こんなとこで話し掛ける者も居るまいからのぅ。して、おぬしらは何者かいの?」
それは老いた男の声で、二人は一方的に喋っていたそれへ恐る恐る振り返った。すると、そこには一人の老爺が…宙へ浮かんでいたのであった。それも半透明の姿で…。
「えっと…。」
さすがのルーファスも、何と言って良いのか苦慮するはめになった。ヴィルベルトに至っては失神しかけている…。
「こんな成りで済まんが、別に誰に迷惑掛けるでなし、のぅ?」
半透明の老爺はそう言って暢気に笑っているが、対する二人は気が気ではない。
はっきり言うが、ルーファスもヴィルベルトも幽霊は見たことがない。魔術師ゆえに妖魔や幻獣など、魔術で造り出された異質のものは山ほど見てきたが、幽霊というものには全くと言ってよいほど免疫が無いのである。
「ヴィー…こりゃ、何だ?」
「僕に聞かないで下さい!」
二人はあからさまに逃げ腰であったが、そんな二人に宙へ浮かぶ老爺は言った。
「おお、自己紹介が未だじゃった!わしゃファルケルと言う。長らくここで守人なんぞをしとったが、今はこんな成りになってしもうたがのぅ。」
そう言ってまたもや笑っている。
だが、二人はその名を聞いて素っ頓狂な声で言ったのであった。
「大神官が何で幽霊になってんだよっ!」
二人が言うのも尤もだ。
神官は元来、幽霊などを神の力で払ったりする者。それが幽霊になって、しかも夜な夜な聖堂へ現れては人に見られて怖がられる…有り得ない話である。
「そう怒鳴らんでも聞こえとるわい!まぁ、話せばそう長い話でもないんじゃがの。」
「だったらさっさと話せよ…。」
ルーファスは顔をひくつかせて言った。隣のヴィルベルトは呆れ顔でファルケルを見ている。
そんなファルケルは悪びれもせず、ルーファスの問いに渋々と言った風に答えた。
「わしには子が居らん。じゃが、妹には息子が居り、それにわしの名を与えたんじゃ。わしにとっては可愛い甥じゃが、その甥が心配でのぅ。ここを守る様になってからそればかり考えとったんじゃが、それがいつしかこうして形となって残ってしもうたというわけなんじゃ。」
「…で?」
「だからの、わしは生きとった時の残りかすじゃ。故に、甥の心配が無ぅなれば、わしも自ずと消えることが出来るんじゃよ。」
「えっと…。」
何と返して良いか分からないルーファスとヴィルベルトは、互い顔を付き合わせて話し合った。
「どうする?これ何とかしねぇと、ミケル
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