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魔術師ルー&ヴィー
第一章
I
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に上乗せしてあるんですよ。」
「…。」
 ヴィルベルトどころか、ルーファスまで半眼になってミケルを見た。
 この時代にあって女性のために…などという考えはない。
 確かに、女性は美しいに限る。男なんぞボロを着ていても構わないが、女性がそれでは些か困りものだ。
 分からなくはない二人だが、あの召し使いの服は…。
「ミケル…いくらやってんだ?」
 ルーファスは迷った挙げ句、その問いを口に出した。
「三シヴルです。」
「…。」
 三度目の沈黙…。
 シヴルは銀貨…三シヴルを銅貨に換算すると150枚になる…。どうやら、この街は大層儲かっているようだ。
 まぁ、あの女公爵が治める街なのだし、その中でも最大の街なのだ。このくらいは当たり前…と、ルーファスは自身に言い聞かせ、もうこの話題から離れようと本題を切り出した。
「で、だ。俺らに何をしろと?」
 ルーファスから話を出すと、ミケルは直ぐに真顔になって返した。
「お二方には、幽霊を払って妖魔の封印を強化してほしいのです。」
 このミケルの依頼に、ヴィルベルトは困惑しながら言った。
「ちょっと待って下さい!その二つ、どうやったって神聖術でしか出来ないじゃないですか!」
 今ヴィルベルトが言った“神聖術"とは、魔術とは対照的な術法なのだ。
 元来、魔術は“魔"に由来し、その力を引き出して使用するもの。それに対し、神聖術は“神"の力を借り受けて行う術のことなのである。
 魔術師同士の争いならば魔術で良いが、魔術から発生した妖魔や悪霊なんてのは魔術自体が効かないのである。
 だが、ヴィルベルトとミケルがそれについて言い合いをしている中、そこにルーファスが割って入った。
「分かった。その仕事、引き受ける。」
「師匠っ!?」
 ヴィルベルトは頭を抱え、ルーファスに「どうするつもりなんですか!?」と噛みついたが、それを軽く流してルーファスは立ち上がった。
「さて、今晩さっそく見に行くかな。ま、今日は下調べってとこだが、出来たら聖堂の見取り図があると助かる。」
「ご用意出来ます。夕刻までには届けさせますので。」
 それで話がついたとばかりに、ルーファスは苦虫を噛み潰したような顔のヴィルベルトとを連れ、街長ミケルのところから引き上げたのであった。




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