アンズ〜星空凛〜その2
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ったんだ。時の流れは速いものだとしみじみ感じてしまう。
時間は、僕を無視して先を歩いていく。
流されて、溺れる。きっと......君も僕も、時間に殺される。そんな気がする。
「......そっか。君はもう、いないんだね......」
空席の隣を見て、あの子が座っているのかもしれないシートを撫でては、ひんやりした感触に空虚さを感じる。
───残念だった。それと同時に、嬉しかった。
不思議と、辛いという感情は現れなかった。気持ちは安定している。落ち着いていられる。不安も、後悔も、何の迷いもなく......。
君がいなくなって、寂しいのだろうか?
僕の心はまるで雪のように白く染まってしまっている。
......何かを忘れてしまったような感覚。
「僕もいつか、そっちに行くから」
......きっと、そっちに行けば本当の僕を見つけられるかもしれない。
そう思う。間違えなんてない。
───僕の進む先を照らしてくれるのは、君。
「約束、したからね」
もう終わったことなのに、心に残ってしまうのは何故だろうか。
あの日を境に、僕の前から姿を消してどこかに行ってしまったあの子。
「思い出すよ……あの時の事を」
君と出会った最初の時の事。僕はもうその時点で、君に惚れていたんだ、と。
でも、そんな君はもういない。でも、君は今、僕の中だけに生きている。キミもこれから、僕の中で生きていくことになるだろう。
僕が時間に殺される、その瞬間まで。
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