攻略の鬼
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彼が消えてから私の中で何かが壊れた。
──彼がいない、どこを探しても。
生きているのか、それかもう……。
私の心には不安と絶望しか無かった。
「アスナ…?」
「何?」
リズは私の顔を恐る恐る見るように話しかけてきた。
「その…無茶はしないで。」
「してないわ、彼がいない今は攻略が難しくなるから安全で効率のいい攻略をしなきゃ。」
そう言って私はコツコツと攻略会議の席に向かった。
「キリト……」
「あぁ、分かってる……」
ライアという存在がアスナの支えであった。
その支えが消えた事によりアスナは壊れてしまった。
何が何でも攻略が優先。
一刻も早く、この世界をクリアする事しか考えなくなった。
自分がどれだけ死にそうになっても、危険な目にあってもパーティーを優先し、それよりも攻略を優先する。
そんなアスナの豹変した姿を見たプレイヤーが彼女をこう呼ぶようになった。
「あれじゃあ、もう"攻略の鬼"じゃない……」
攻略のためだけに全てを注ぐような、攻略の鬼と。
「この村に誘い込んで、仕留めます。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「何ですか?」
アスナの作戦、それはある村にモンスターを誘導しモンスターがNPCを襲っている間に倒すというものだった。
キリトくんは私に怒りを向けるかのように睨んで反論してきた。
「アスナ、君はNPCを襲わせる気なのか!」
「えぇ、彼らはNPCです。ポップしますから、私達の中で犠牲者が出ることはなく……」
「ライは、こういうやり方を一番嫌うんだぞ!?」
「……っ」
私は彼の名前に反応してしまった。
「だから、もっと別の方法を……!」
「じゃあ、その彼は何処にいるんですか?」
「!?」
私は冷静さを取り戻しながら、睨みつけて言った。
「彼は……ライア君は何処にいるんですか?」
「それは……」
キリト君は顔を伏せて悔しそうな顔をしていた。
「作戦はこのままで行きます、それでは解散してください。」
キリトside
「今日も揉めたな、キリト。」
「……あぁ。」
「変わっちゃった…わね。」
「ライアさん、戻ってこないんですか…?」
「ライアの居場所が全く分からないからな…何とも言えねぇーな。」
俺は拳を握り、木を殴った。
「くっそ……」
──俺は何て無力なんだ…
相棒を助ける事も、相棒の頼みさえも俺は出来ないなんて……
「俺にアスナを守ることは出来ない……ライ、ごめん。」
そんな会話を木の後ろから
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