アンズ〜星空凛〜
[3/4]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
「......まぁ、 話しかけてくれてありがとうございます。僕、星空凛っていうんだ。よろしく......お願いします?」
凛くんが手に持つ音楽プレーヤーは"待ってて愛のうた"が流れていて、それを指摘すると、彼は嬉しそうに話し出した。
「このスクールアイドル、可愛いよね?今凛が1番好きなスクールアイドルなんだ。特に"待ってて愛のうた"っていう曲が好きなの」
〜☆〜
「ようへー君は、知っている?凛たちはあれから毎日、一緒にお昼ご飯を食べているんだよ?」
彼は、講義が始まっても耳元で話しかけてくる。余程思いである一件だったのだろうか。
「まさか君とこうして仲良くなれるなんてね。人生わかったもんじゃないねー」
心底楽しげに微笑む彼は、まるで女の子のようで、時々心臓が高なってしまうことがあるから困る。
「嬉しいね?こうして趣味のことや、勉強の事を語り合える人がいるっていうのは」
勉強の事だけに関して言えば、語るのではなく、ノートを写させてもらう、の方が正しい。
『他にも友達いるだろ?』という問いに、彼は表情を曇らせてノート上にぐちゃぐちゃとシャーペンを走らせる。
「凛は......あはは。凛は、君以外に友達なんていないんだよ。高校生の時は、沢山いたんだけどね......ちょっと、色々あって。みんな離れ離れになっちゃったんだ。君は......ようへー君は、どうなの?凛から離れないで、ずっと仲良くしていてくれる?」
切なげな表情で言われると、『もちろん』としか応えられなくなる。いや、『もちろん』以外の選択肢なんて有り得ないけれど。
そう答えた僕に対して、彼はまた女の子のような微笑みでにんまり笑う。
「そっか......えへへ、それは嬉しいね」
同じものが好きなのに。
同じ趣味を持っているのに。
彼は、僕とは違う何かを持っている
そんな印象を受けた。
僕と同じ場所にいるのに、
同じ世界にいるのに、違う世界を、生き方をしている。
僕は、ただ優しいふりをしているだけ。そんなことは自分自身がよくわかっている。
彼と同じになれないことがもどかしいのだ。
純粋に、楽しく生きる彼に。
こんな有害な、有毒な関係が僕らの常識を壊そうとするから。
───出会う前から、互いに好きだったものは......運命じみたものを感じる
時折見せる、女の子のような表情
凛くんは、男なのに。
......だから。だから僕は錯覚してしまうのだ
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ