アンズ〜星空凛〜
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セットときた。
「何か言いたそうな顔してるね?弁当ばかりだと飽きちゃうからたまにはカップ麺もいいかなーなんて」
よく食べるヤツだな、いつもそう思う。
栄養が偏ってそうで少し心配ではあるが、食べることがとても楽しみな微笑みに、言うのをはばかられてしまった。
「別に羨ましいとか、そういうのじゃないよ?凛のお母さんは仕事が忙しいだけだからね?仕方ない事だよ、うん」
そう言って、見せびらかしてきた昼食をカバンにしまう、
棒読みな発言に、くすりと笑ってしまう。
「凛ももう、わがまま言っていられるような歳でもないから。我慢するところは我慢する。」
確かに、僕らはもう20歳の学生だ。でも凛くんは、見た目は年相応でも言動は年より少し幼く感じる。
常識が無いとかそういう話ではなくて、遊び心を捨てきれない高校生という感覚。
僕は、彼のそんなところに憧れていたのかもしれない。
「ねぇ、もうすぐ夏だね。というか、本当に時間が流れるのは早いよね。ようへー君と出会ってから、もうこんなに時間が経っているよ」
凛君と出会って早1年。ここまで仲良くなれるとは僕も思ってなくて、彼と一緒に過ごす時間が当たり前となっている。
「ようへー君......君は覚えている?」
〜☆〜
彼が言いたいのはきっと、僕と凛君の出会い。
同じ講義室の、窓際にぽつんと座る、1人きりの少年。その姿は僕と同じだった。大学生になって一人で講義受ける光景は見慣れていくけれど、彼の時は少し異なった。
講義中も、移動も、昼休みも、帰宅も、いつも一人でいるイメージ。こうして話していると陽気でお喋り好きで、一緒にいて飽きない性格なのに、ずっと一人ぼっち。
......そんな彼がいつも握しめていたのは黄色の音楽プレーヤー。
"待ってて愛のうた"
画面を見て、僕は運命を感じた。
"待ってて愛のうた"を知っている人は、日本のどこかを歩けばいるかもしれない名曲。"浦の星女学院"が排出したスクールアイドル"Aqours"が歌う中の一曲を彼は真摯になって聴いていた。
僕と同じにおい。
だから、彼に強く惹かれたんだ。
声をかけたのは、当然僕から。
いきなり声をかけられて、まごまごされたのは今ではいい思い出だ。
「ど、どうかしましたかにゃ......あぁいや、どうかしました?」
動揺しきった彼を落ち着かせるように、僕は自己紹介をして、声をかけた経緯を軽く話す。
「君と......話した事無い、ですよね?」
当然、ある訳が無い。いつも、君の横顔を眺めていただけだから
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