出会う風と乗り越える壁
出会う風と乗り越える壁E
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「分かんないって・・・・・・じゃあ何?あんた駆逐艦のくせに魚雷が使えないってこと?」
舞風がうなずくと、初風はゲラゲラと笑いだした
「・・・・・・何で笑ってるの?」
少しムッとした表情で舞風は問いかける。ひとしきり笑った初風は息を整え
「だってねぇ・・・・・・魚雷は駆逐艦の主戦力よ?それが使えないって、私は戦力外ですって宣言してるようなもんじゃない」
「そんなこと・・・・・・」
「・・・・・・まぁ駆逐艦の仕事は戦闘だけじゃないからねぇ、魚雷が撃てなくてもやってはいけるでしょうね。でも悪いことは言わない、あんた・・・・・・艦娘やめちゃいなさい」
艦娘をやめろ、その言葉を聞いた瞬間、舞風の表情が変わった。先ほどまでの飄々とした態度は完全に消え、ぎゅっと拳を握りしめ、震えるような声でぽつぽつと言葉を紡ぐ
「何で・・・・・・初風ちゃんにそんなこと言われなきゃいけないの?」
「誰も言わないからよ」
そんな舞風の態度をよそに、全く悪びれる様子もなく初風は続ける
「私も今までいろんな艦娘を見てきたけどね、あんたみたいな欠陥抱えたようなのは見たことないわ」
「そこまでにしとこうかー」
二人は声のした方向に振り返る。ドッグの入り口に声の主、提督がいた。どうやら二人の話をそこで聞いていたようだ
「あらあら、仮にも鎮守府のトップともあろうお方が盗み聞きなんて、いい趣味してるじゃない」
「そりゃどうも」
相変わらずの軽いノリで初風の皮肉を受け流すと、提督は二人の間に割って入る
「いやね、いつまで経っても演習終了の報告に来ないもんだからさ、なんかあったのかなーって思ってきちゃった」
そしたら・・・・・・と、提督は二人の頭の上に手を置き、笑顔で話を続ける
「二人で面白い話をしてたってわけだ。俺も思わず聞き入っちゃったよ?」
興を削がれた、そんな表情で初風は提督の手を払いのけると、そそくさと出口に向かおうとする
「ちょいまち」
「・・・・・・まだ何か?」
「あぁ、今日から二人は相部屋の予定だったけど・・・・・・この様子じゃ変えた方がよさそうかなーって思ってな」
「そ、好きにすれば?」
そう言い残すと、初風はとっととドックから出て行ってしまった。提督はため息をつくと、悲しそうな表情の舞風の頭をポンポンと軽くたたく
「とりあえず、執務室に行くか。部屋割りも新しく考えねーとだしな」
舞風は返答はせず、コクンと首を縦に振った
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