責任とります
深夜1
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しが入ったタッパーを乗せる。そのまま居間に持って行き、俺の分はテーブルに置いて、おかゆが乗ったお盆はそのまま、川内に渡した。
「ありがと」
「どういたしまして」
「もっと色々使ってよかったのに」
「だから、俺の料理スキルに期待するなっ」
「あれ……お玉は?」
「……あ」
そういえば、お粥をすくうお玉を持ってこなかった……一言川内に断りを入れて、俺は一度台所に戻り、そしてお玉を川内に献上した。
「……あ、そうだ」
「ん?」
俺が取ってきたおたまを川内のお盆に載せたのと同時に、何かを思い出したらしく、川内がハッとしてつぶやいた。
「えっとさ。体温計、せんせーが台所で鼻歌歌ってる時に鳴ったんだ」
「報告はうれしいけど鼻歌は忘れろ。……んで? 何度だった?」
「まだ見てない」
「見ろよ」
「とって」
「とれよ」
「私だってせんせーの体温計取ったんだから、せんせーも私の取ってよ」
……いいよ? わがまま言ってくるのは慣れたよ? でもさ。さすがにそりゃあきませんぜ川内さん? 女の子が男の服の中に手を突っ込むってのも中々だが、女の子の服の中に男が手を突っ込むってのは、ある意味では事案発生ですぜ?
台所でお玉を見つけた俺は、無表情のまま、目がトロンとしてる川内のそばまで戻った。そして……
「バカタレ」
「ひやっ」
とりあえず川内の頭をはたく。
「自分でとれ」
「ひどっ……」
俺に頭を横殴りにはたかれた川内は、口をとんがらせて自分の服の中に手を入れ、もそもそと動かしたあと、体温計を取り出して俺に渡した。40度……これはなかなかにハードな体温だな……。その体温計を川内に見せたが、反応は薄い。少し元気が戻っているが、やはりまだ意識が朦朧としているのだろうか。目がトロンってしてるし。
「やっぱ高いな。それ食ったらまた眠れ」
「うん。そうする」
意外と素直に俺の言うことを聞いた川内。俺はお玉を使って川内のお茶碗にお粥をついでやる。おかゆはまだまだアツアツで、途端に川内の周囲が湯気で包まれた。
「……熱そうだー」
「だなぁ。舌を火傷するなよ」
「ふーふーして」
「アホ」
川内のワガママジャブをうまく交わし、俺はテーブルの前に腰掛け、自分の晩飯を食べる。テーブルとベッドの間に腰掛けてるから、ちょうど川内に背中を向けてる感じだ。
「いただきます……」
静かな川内のいただきますが、俺の背後から聞こえた。ふーふーという静かな吐息と、かちゃかちゃというお皿の音が心地いい。
「……せんせー。美味しい」
「そっか」
「ありがと。玉子焼きも美味し」
「甘いのとしょっぱいのとどっちがいいか迷ったんだけどな。ええわい作っちゃえって思って」
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