責任とります
深夜1
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い。鍋焼きうどんでも作ろうかと思ったけれど……その前に、あの鍋焼きうどんは、おれには再現出来ないか……。
――♪〜……♪〜……
それに、あの鍋焼きうどんは、なんとなくだが、俺が作ってはいけないような……なんだろうな。あの、とても楽しそうにキッチンに立つ川内の姿を見てから、『鍋焼きうどんといえば川内』という感じの妙な方程式が、俺の中で組み立てられつつあるようだ。
とりあえず川内はお粥でいいだろう。台所の戸棚を開き、よく手入れされた雪平鍋に水を注いだ。それを火にかけ、沸騰するまで待つ。その間に玉子焼きでも作っとくかね。
「川内すまん。俺の分も一緒に焼いちゃうぞ」
卵二つを溶いて、目に付いた顆粒だしをちょいと入れておく。川内の好みは甘いのとしょっぱいの、どっちだ……という疑問が一瞬浮かんだが、約二秒後に『どっちでもええわ』という投げやりな回答で上書きされた。甘いのが好きだろうがしょっぱいのが好きだろうが、俺に看病を任せたアイツが悪いってもんだ。
玉子を溶き終わった頃合いで、鍋の湯が沸騰した。おかゆなんて、とりあえず沸騰した湯にご飯ぶちこんどけばいいだろうと思い、冷凍ご飯をそのままぶち込む。
「♪〜……♪〜……」
あの日、あいつが歌っていた鼻歌が、口をついて出た。こうやって鼻歌を口ずさんでいると、なぜかあいつの姿を思い出す。上機嫌な夜戦バカの姿が、俺にはかなり印象に残ったようだ。
「♪〜……♪〜……卵焼き機は……」
再び台所の戸棚を開く。卵焼き機は……あった。それをコンロの上に乗せ、火にかけ、油をひいた。余計な油はキッチンペーパーで拭き取り、だし巻き卵を焼いていく。
「♪〜……♪〜……あ」
少しぐちゃった……まぁいいか。出来上がった少々不格好なだし巻き卵をまな板の上に乗せ、包丁で6切れに切る。あとはこのまま冷めるまでおいておこう。
鍋を見る。鍋の中はグツグツと煮立っていて、すでにおかゆが出来上がりつつあった。とりあえず火を止め、味を見てみる。
「……ん。問題はなさそうだ」
うん。まぁ、お湯にご飯突っ込んだだけだからな。失敗しようがないし。とりあえず、作れるものはこれで全部だ。あのアホなら、この冷蔵庫の中のものを使って色々なものを作れるのだろうが……俺もきちんと自炊して、常日頃クッキングに慣れ親しんでおけばよかったなぁ、と軽い後悔の念を抱いた。2秒後に消えたけど。
「……ハラ減ったな」
あとは自分のご飯の準備だ。
「せんだい。ご飯もらうぞ」
改めて川内に許しを請うてみるが、奴は今、深い深い夢の中。返事が帰ってくるはずもない。とりあえずもうひとつの冷凍ご飯を、ラップにくるまれたままお茶碗に乗せ、電子レンジの中に置いて、レンジを作動させた
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