第7章 聖戦
第170話 シュラスブルグ城潜入
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ンスヴァル卿。貴卿がここに布陣してから一週間近く経って居るはずですが、その間、シュラスブルグ城に出入りする住民の姿の報告を一度でも受けましたか?」
俺の問いに首を横に振るランスヴァル卿。そして、更に続く俺の問い。
「ならば次の問い。シュラスブルグ城内。政庁を兼ねているアルザス侯爵の邸宅以外の場所から煮炊きや暖房に因る煙が上がっている事が確認された事は?」
その問いに関しても、当然のように首を横に振るランスヴァル卿。
「不思議だとは思いませんか、この真冬に煮炊きや暖房用の槇も使用せず、確かに真冬故に城の外の農地の見回りもあまり必要ではないのかも知れませんが、それでも八日もの間、生きて動いている住民の姿が一切、見えないと言う状況は?」
そもそも、このガリアの騎士隊はシュラスブルグ城の周りを十重二十重に取り囲んでいる訳ではない。かなり距離を取った、安全だと思われる地点に陣を張った状態なので、シュラスブルグ城内の状態は普通に考えると少し緊張感があるかも知れないが、それでも平時と大きな違いはないはず。
まして、ここに居るのは騎士三百人にその従者たち。総数で言うとテルモピュライの戦いに従軍したギリシャ軍よりも少ない人数しかいない。
対してアルザス侯爵麾下の総兵力は平時ならば千程度だと思うが、今はその数倍はいるはず。住民の数は二万人足らず。
流石にこの数の敵を必要以上に恐れるとは思えない。おそらく、城門の間近に包囲戦を行える規模の軍隊が接近しない限り、シュラスブルグの住民たちは危機感を覚える事はないでしょう。
しかし――
しかし、その割にはシュラスブルグ城の静まり返った様は異常。確かに、俺の探知能力はそれほど正確とも言い兼ねるが、しかし、それでも今現在の俺が感じている気配は、シュラスブルグ城のある方角に大きな……二万人以上の人々が生活している気配を感じてはいない。
更に……。
「秋に猛威を振るった疫病に関しても、今回の隕石落としと同じ触媒を使った世界に掛けた呪い。その疫病は果たして罹る相手を選んで猛威を振るっていましたか?」
そんな事はなかった。そもそもその疫病の際に、オルレアン大公の妻は死亡し、更にその毒牙はタバサにも及ぼうとした。
彼女が助かったのは俺が傍に居たから。それ以外の理由は存在しない。
そして、
「アルビオンがトリステインの軍を打ち破った際の詳細な状況の報告を受けていますか?」
あの一方的な戦いの結末は確かにイタクァやバイヤキーによる空中戦であったのだが、トリステイン軍をアルビオンの大地から追い出したのは、死体の状態の良い部分を継ぎ接ぎにしたフランケンシュタインの化け物の軍隊。
ここまで矢継ぎ早に発せられた問いの答え。いや、その問いの
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