第7章 聖戦
第170話 シュラスブルグ城潜入
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分。確かにそれほど問題がある訳でもないのだが、既に昼食中のガリアの騎士たちの中に、ここで起きている事態に気が付いた連中の間で小さくない騒ぎが発生しているようなので……。
そう、これ。鉄の塊が炎を纏って居る状況は、別に戦車に掛けた圧力が限界点を越えた訳などではなく、最初ゆっくりと圧力を加えて行ったが故に、戦車のタンク内に残った油が漏れ出て来ただけ。そして、流石に弾薬やガソリンが爆発する事は警戒して外側から高圧力を掛けて居たのですが、漏れ出て来た油が燃え始める事に関しては多少ルーズだった為に一気に燃え上がり、元ティーガーUが氷空を舞う炎の弾と化した、とそう言う事。
俺の能力の基本は重力を操る事。それは別に重い物を宙に浮かせたり、逆に軽い物に重さを掛けたりしか出来ない能力ではない。最大まで能力を行使すれば任意の場所に次元の穴を開く事すら出来る能力。
普段、俺が剣圧で遠方の物を切り裂いたり、飛んで来る物体を迎撃したり出来るのは、この能力の応用。つまり、剣を振るった際の威力で攻撃しているのではなく、任意の空間の次元を切り裂いている、と言う事。
ただ、あまりにも大きな亀裂を作って仕舞うと、其処にあらゆるモノを吸い寄せる穴が発生。そのまま際限なく周囲の物を吸い込み続けながら巨大化して行き……結果、自らの暮らす世界に取り返しの付かないダメージを与える可能性があるので、普段は簡単に消滅するレベルの小さな亀裂を作り出している。
そう言う事。
故に、能力の絶頂期に当たる現在の俺は、シュラスブルグの街ごと持ち上げて、それを宇宙の彼方へと投げ飛ばす事ぐらい朝飯前……と言う訳。そりゃ人工のブラックホールを発生させられるだけの馬鹿力があるのなら、大抵の事はどうにかなる。
「成るほど、先ほどの作戦が実行可能な作戦だと言う事は理解出来ました」
いや、皆まで御見せ頂く必要はありません。そう断った後に、言葉を続けるランスヴァル卿。その感情の中に隠しきれない負の感情。
これは間違いなく否定。それに、彼が何を否定しているのかについても分かっている心算でもある。
それは――
「シュラスブルグの住民の事を心配しているのですか、ランスヴァル卿?」
当たり前の俺の問い掛けに、渋面を作りながら、
「騎士であると同時に、ガリアの軍人である以上、命令とあれば従いはしますが――」
……と答えるランスヴァル卿。そして、更に続けて、
「確かに、アルザス侯爵は大逆の罪に当たるとは思いますが、その罪を領民にまで償わせる必要はないと思います」
ランスヴァル卿の台詞は至極真っ当な騎士……俺がイメージする西洋風のファンタジー小説や漫画、アニメなどに登場する騎士さまの標準形の台詞だと思う。
ただ……。
「ならば聞きますがラ
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