第7章 聖戦
第170話 シュラスブルグ城潜入
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の感触に混じる妙に粘つく液体の感覚。こいつが現在のこの場所……シュラスブルグ城内の王の間。俺やタバサと因果の糸で繋がるシャルロット姫が今、存在する場所へと繋がる回廊の状態を伝えて来ていた。
タバサが召喚した二頭の魔狼に因り首を失った複数の死体。
そう、巧妙に隠されていた扉から跳び出して来た兵士たち。本来、闇に包まれたこの石造りの回廊では、その扉を肉眼で発見する事は不可能であったハズ。しかし、その時には既にタバサに因り放たれた呪符から発生した魔狼が彼らの奇襲を無効化。そして、その三分後にはもう――
おそらく無駄な行為となる事が確実なのだが、胸の前で両手を合わせ、不幸な死者。元シュラスブルグの街に暮らしていた人々に対して冥福を祈る俺。
その時、死体を調べていた湖の乙女が上目使いに俺を見上げ……そして小さく首を横に振った。
成るほど。そう独り言のように発する俺。それに、ここに到着するまでの経過を思い返してみると、矢張り昼間の内に語った推測は――
☆★☆★☆
「流石に、その話を聞いては無理ですな」
少し残念そうな雰囲気を発しながらも、そう言うランスヴァル卿。まぁ、彼の気持ちも分からなくはない。先ほど俺が提示した作戦は戦車と言う新しいオモチャが使える上に、自らが率いている騎士たちが危険に晒される事も考えられない作戦なのだから。
むしろ、遠い未来に少々のリスクがあったとしても目先の利益を考えるのなら、この作戦を実行してリュティスに対する隕石落としを阻止した後に、その結果、未来に起きる可能性の高い不幸な出来事を回避する方策を考えても問題ない、と判断する可能性だってあったはず。
もっとも……。
もっとも先ほどの作戦が、俺が用意した三つの策の内で一番劣る作戦だと考えるのなら、これから先に提示されるふたつの作戦は先ほどの作戦よりもマシだと考えられるので……。
おそらく其方の内容を聞く事を優先。その後に三つの作戦の内のどれを採用するのか決める心算なのでしょうが。
「それでは中の策」
元々下策が採用される可能性は皆無だと考えて居たので、その事に関しては大した感慨を抱く事もなく淡々と話しを進める俺。少なくとも民を害する可能性のある作戦を、他の作戦も聞く事もなく選ぶような指揮官ならば、以後はそのレベルに相応しい対応に俺の方が変えるだけ。
そう言う意味で言うのなら、目の前の老将は俺の試しの第一関門は突破出来たと言う事。
ならば――
「シュラスブルグの城を土台毎、大地から引っこ抜いて大遠投。今まさに落ちて来ようとしている巨大な隕石に当てて相殺する」
政庁を兼ねて居るアルザス侯の邸宅だけを持ち上げたのでは奴が其処に確実にいる証拠がない以上、もし生き延びていた場合に非常に厄介な事
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